■月 ●日  No5163

 八雲商事の本社から何人か幻想郷に亡命している人がいるんだが
 まあ今回の相手はかなり酷いというしかない。
 関係者片っ端から狙ってくる手口はかなり強引で今までにないというか
 罰当たりすぎる。ちょっとでも信心があればやらないのだが
 逆に言うとそういう相手と言うことで特定はしやすい相手ともいえる。
 まああれだ。キルゾーンに入っちゃった人をとっつ捕まえたって
 話もあるので多分、連中も終わりですわな。

 まあキルゾーンと言いましてもそこに軍隊とかを置くのではなくて
 そこに面白いものがありますよって言って回っただけである。
 軽くスピーカーの耳に入れば後は制御不能である。
 妖怪たちに危険はないのかだって? 多少はあるが、だいたい
 なんで我々が幻想郷にいるかと言ったら彼らにも人間の対応策を
 教えて回っているからってちょっと考えればわかる話ですよと。

 顕界の人間だけが幻想郷の妖怪に対抗できるかと言ったら大間違い。
 両方にも作用できれば、妖怪にいろいろな属性を付けたり、
 その逆も然りなんですわな。つまり通常兵器では倒せないって
 属性を付与するって話です。
 まあこれ、霊能局の連中が自分たちの利権をんがんぐするために
 妖怪を補強するって恐ろしいことをやっていたからですがな。
 実際はどうか知らんがな。

 ほら、顕界でも妙に妖怪の戦闘力が上がってませんかね?

 


              

 

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■月 ●日  No5163

 幻想郷で間違いないと言い切れる人物は限られている。
 はっきり言ってそこら辺の人物では心もとない。
 ホモサピエンスでは色々危ない。となると私のつてで
 一番安全な人は彼女しかいない。綿月依姫カモン!

 ということで私が知る中で一番安全、絶対安全、実質安全
 つまり安全確認ヨシ!な人物である。
 もちろん計算もある。ペールなら穢れ対策もきちんとしている。
 まあ、人工知能を穢れなき人類の後継者にしちゃいたいエイリアン
 もいるんだろうが、この辺は彼女のプライドがそれを許さない。
 つまり絶対安全なのだ。

 まあ実際に引き合わせたらすごい呆れた表情で承諾してもらった。
 これで博麗の巫女対策は安全だ。
 なにせ彼女は博麗の巫女とはそこまで仲が良くないのだ。
 ある程度距離を保っているし、下手に近寄れば危険であることも
 知られている。さらにボディーガードとしても超優秀である。
 まさに完璧。

 いや本当の目的から外れているな。月面人と顕界の連絡員としても
 彼女はかなり優秀である。というかそれが本当の目的なんだ。
 信じてくれい。

 

 

 

           

■月 ●日  No5162

 わかってはいた話なのだが、ペールは所詮顕界の婦警である。
 その部分がヴィヴィットとは違う。戦い方も顕界の知識であり
 幻想郷の思考回路ではない。霊能局の関係者ではあるが、所謂
 払下げと言われている者であり、小兎姫のような荒事などを得意と
 しているわけではない。
 
 ゆえに一般人相手にこうして大けがしているわけで。
 しかも 言葉遣いがとても変である。どうも言語回路の故障によるもの
 だそうで復旧に時間がかかるとのこと。

 幸いなのが、この言葉遣いが変すぎて妖怪たちの受けがとても
 よいのである。というか良いのはいいのだが、みんなが真似をする
 厄介な代物だ。つまるところミーム汚染が幻想郷内部で起こっている。
 つまり最高にポンコツなのだ。もうポンコツ過ぎて一部の男子の
 ハートをばっちりキャッチしているのだ。
 朝倉が見たが絶対発狂するであろうことは想像に難くないだろう。

 こうなると、絶対引き合わせてはいけない人物がいる。
 博麗の巫女たちだ。絶対何かちょっかいを出してくる。
 とりあえず私は身を隠すことを決意した。
 絶対ある意味危険地帯である。
 
 
 
 

 

 

 

           

■月 ●日  No5161

 この婦警、名前をペールという。まあヴィヴィットと同型機だから
 当然だと思う。確かに彼女を通せば月面と話が付きそうな
 もんだろうが、本人の意思を全く考慮しない思考では碌な展開には
 ならないだろう。アンドロイドに意思を認めるのかって問答はあるが
 ぶっちゃけそんなもん意思疎通が出来れば問題ないだろの精神である。

 ってかホモサピエンスとか、そもそも有機体かどうかなど超ナンセンスだ。
 幻想郷生活している奴の常識ってもんだ。
 大体考えてみろ、閻魔様はその理屈だと無機物だ。
 無機物に裁かれているんだ。いや、そういう意味で見れば相手は
 一種のコンピューターっていうこともできそうだ。
 実際、閻魔様も月面で活動してもフリーだったわ。ちゃっかり衣服を
 仕入れていて実はすごいミーハーだってことを最近知ったわ。

 まあそんなわけなのでとりあえずペールを治療してもらい、
 うちのところで預かることになったわけよ。
 修理って言ってもいいんだろうが、ほぼ治療なので治療でいいだろ。
 とにもかくにも人間がやることではないわけだわ。思ったより怪我が
 深刻だし、がっちり治療しないといけないというか移植作業する
 っきゃない。 しかもほかのヴィヴィットどもが茶々を入れるし
 ひどいカオス状態だ。本当一体どうなるんだ自分。


 

 

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■月 ●日  No5160

 事態を整理しよう。現在八雲商事社員を狙った異変発生のため
 私は幻想郷内部に避難している。現在顕界で作戦行動を
 行っているのは所謂荒事専門家である。
 
 そこに出てきたのは婦警である。幻想郷内部で絶対現れることのない
 コスチュームが、あり得ない深さで埋まっている。
 途中まで掘り出した段階で婦警が息をしていないことに気づき
 蘇生措置を施そうとしたが、こいつは勝手に動き出したってところ。
 まあ婦警じゃないな。小兎姫も使ってる例の制服だ。
 
 よくよく見てみると傷だらけの躰にところどころ金属が覗いている。
 一部の傷はふさがりつつあるが、それに思わずピンときた。
 あっ、これうちの会社の卸品だと。

 月面戦争が終わり、多くのヴィヴィット型アンドロイドはお役御免に
 なるはずであったが、結局月面人のたっての希望で
 彼女は引き続き月面での活動に従事することになった。
 彼女たちは月面人ととても相性がいい。なにせ穢れがないのだ。
 
 ここに月面でとある政変が起こり事態は急転直下する。
 月面人はあろうことかヴィヴィット型のアンドロイドたちを人類の
 後継者とみなす動きがあったのだとか。
 こうなると、彼女と同型が見事に巻き添えを喰らうことになった。
 彼女もまたその一人なのだろうってことだ。

 とりあえず、予想を立てて、通信プロトコルを確認すると
 連絡先はやっぱり小兎姫だった。自分が知り合いであることを
 伝えると彼女が心底ほっとした表情になって何よりである。

 

 

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■月 ●日  No5159

 基本的に八雲商事社員は傍観者である。特殊事例以外は異変に
 直接関与しないものだ。しかし巻き込まれてしまったらその限りではない。
 そしてよりによって見つけてしまった。雪に埋もれた人間のかたちを。

 こうなると何とかして掘り出さないといけない。
 救援も呼ぶが、まずは呼吸を確保し、生存の可能性を
 向上させるのだ。まあだいたいは死体での対面であるが
 しかも今回慌てて掘り出さないといけない理由があった。
 その衣服はあきらかに顕界のしかも公権力にいる者の衣服だったからだ。
 つまりは警察である。婦警である。
 掘り出して、送還して普通に業務上の死にしないといけない。
 こうした引き渡し事例はたまに存在するが巻き込まれたのは初めてだ。

 途中まで掘り出したところで違和感に気づいた。呼吸をしている様子はない。
 つまり仏さんってことである。しかし、この婦警は突然目を見開き、
 指を動かす動作を始めた。反対側の腕はすでに動き出している。
 「あっ、これダメな奴だ」

 本社への報告をしようと、仏さんから目を離した。端末に連絡の
 動作を行い、電話口に仏さんの特徴を確認するため埋まっていたで
 あろう場所を確認すると 仏さんはいない。
 「やっちまった」
 これは掘り返してはいけないものだった。周辺を確認して婦警
 だったと思われる人型物体が何処に行ったのかの目視する。 
 そこに。

 「端末通信エラー、通信端末のテザリングを要求します」
 さっきまで埋まっていたはずの婦警が目の前にいた。

    

 

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■月 ●日  No5158

 皆さんこんにちは、メイド長にボルトガンを最高にディスられて
 一部の人からご褒美と言われつつも、やっぱり全然ダメじゃんって
 なってきました。
 紅魔館としては私を保護もとい軟禁状態にするのもやぶさかじゃないと
 言われてそれって喜ぶべきことなのかわかりませんが
 きっと喜ぶべきことでしょう。

 一応言いますがね、紅魔館は主人に会う前にすぐにあの世に
 ごーつーへるできるような危険地帯であります。
 そもそも私自身、物資関係は屋内で渡しておりません。
 弾幕戦が出来るくらいに大空間を魔術で仮想的に作ることが出来る
 危険地帯ですからまず何も対策なしで入場すれば確実に 
 遭難できるでしょう。

 博麗の巫女がそれでも侵入できたのは運がよかったというよりも寧ろ
 なんだかんだ言って博麗の巫女を試していたと言えます。
 いや、前言撤回、あそこで博麗の巫女を放ったらマジで周辺住民が
 大迷惑です。その意味で門番は門番の仕事をきちんとこなしました。
 バーっと当たってあとは流れをうまく実現しました。
 
 私とは別の担当者ですが博麗の巫女の脅威については綿密に打ち合わせ
 を行いまして、とにかく外に出さないことが重要と言っております。
 戦闘が容易な湖上部を移動させるように動線を作成することで
 周辺住民への被害は最小限に済ませられました。
 また、地底で作られつつあるロケットの試作機も無事に済ませるとなると
 自ずと戦闘区域はかなり限られていたのです。

 まあそれだけ博麗の巫女がやばいって話。

 

  

 

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