霊能局の妖怪の一人が米帝へ亡命しようとしているらしい。
受け入れ先は妖怪の資本が絡んだ企業だろうが、
エスパー並と言われる高い価値の妖怪が亡命するとなれば国際問題になりかねない事態である。
今日の目的は"彼女"の亡命を阻止することである。
問題は彼女の動機である。自分の発明したものが組織の中で認められない。
実用化されたのに賃金は殆ど上がらないというものだ。
第一妖怪が目立つ行為を許されるわけではないのだが、名誉欲に囚われて自分を見失っているようである。
どうも岡崎はこの辺の事情に強く反応したようで、北白河を連れて本作戦に参加したいとボスに直談判したようだ。
かくて異例の三人がかりの参加になった。 私は保護者らしい。
北白河は事前に得た情報をもとに彼女が行くであろう国際空港をすでに割り出していた。
北白河は情報の整理・分析を得意分野としている。
天才肌の岡崎を理論面でバックアップする北白河の構図が出来上がっている。
ボスに連絡を取り、目的の飛行機を遅らせる。 時間を稼いでいる間に三人がかりで彼女を確保した。
岡崎は、彼女の胸倉を掴み色々と捲くし立てている。 私が窘めるとものすごい力で払いのけられた。
その余りの剣幕に、私はただ呆然と見つめるしかなかった。
ボスに報告すると、岡崎を拾ったときの話を聞かされた。
岡崎はあの研究のとき、実に色々なものを犠牲にしていたらしい。
真実の探求のために沢山の借金をして家を手放してもいる。
返済のために一時はカラダも売ろうとすら考えていたらしい。 ボスはそんな彼女を拾った。
借金を全額返済して研究のための予算を与えたのである。
岡崎は、会社に守られてぬくぬくと研究に没頭していた分際で結果が出たら、
自己の利益を追求した彼女が許せなかったのだ。
自分を支えてくれた人たちにまず恩返しをするのが筋ではないのか? 彼女が叫んだ言葉は心に残っている。