上白沢の塾に教材を届ける折、近くの家で結婚式が行われているらしく周囲に人だかりができていた。
それを見た上白沢が珍しく「羨ましい」と洩らしたので、ハクタクも結婚願望があるのかと聞いたら
元人間だから、ちょっと位は憧れると言われて成程と思った。
上白沢の外見なら言い寄る男くらい結構いるじゃないかと聞くと、「私を一人にする気ですか」と返された。
確かに、人間と妖怪の寿命なんてものは絶望的に違うのだから仕方ない。
幸せなのは最初の数十年程度なもんで人間にとっては長い時間かもしれないが、妖怪たちにすればそれは
一瞬の出来事に過ぎない。
上白沢の場合「結局介護するのは私になるし」とぼそっと洩らしたのを私は見逃さなかった。
身も蓋もない。
まあ、介護っていうだけ上白沢はマシな存在だろう。
朝倉とか白玉楼のお嬢様に至ってはその前に胃袋に収まると言っていた。
愛の為なら餌になれると思う奴じゃないと彼女たちと付き合うのは難しいだろう。
中には尻軽な妖怪もいる。こういった妖怪は男と別れるときにその男を食ってしまって関係をリセットしようとするので
始末が悪い。 外の世界にそういう妖怪が多い。 美貌を持つ妖怪たちは男をとっかえひっかえして気ままに
暮らしているのである。