○月 ○日 No183 交渉ごと


いつものように香霖堂へ納品に行くとそこには魂魄がいた。 残念ながら娘ではない。
香霖の目の前には見たこともないような剣が置かれている。 黒い魔法使いから買い叩いたというこの剣は
"天の叢雲"と呼ばれる有難い武器らしい。 この剣をどうにかして買いたいのだという。
香霖は使い方がわかるものは自分のものにしてしまう悪癖があるから、この交渉は非常に難しいものだ。
魂魄としては、いつもここに出入している私ならなんとか交渉できるのではないかと思ったに違いない。


香霖が口を開いた。 が私にはサッパリわからない世界がそこにあった。
マリアリの春画とパチェマリの春画でどうだ。 と聞こえた気がする。
この二人は、春画と伝説クラスの剣を天秤にかけていた。 
急に胃痛が酷くなり、奥の部屋で水をもらいガストローム錠20ミリグラムを胃の中に投入する。


魂魄は私に真顔で聞いてくる。 パチェマリの春画を大至急注文できんか? 
パチェ? それは誰だ? ああ、ノーレッジ氏のことか? いまいち事態が掴めない。
列車は一週間おきにやってくることは二人ともわかっている筈だ。
はあ、岡崎に相談してみれば? と言うのが精一杯だった。 まさか女に春画を注文できるわけがない。


ところが魂魄はホットラインシステムを使って本気で注文してしまった。
あまりの事態に私も絶句してしまった。
数時間経って、岡崎が本当に届けに来た。 岡崎が私を見てニヤニヤしている。 
それと同タイミングで黒い魔法使いもやってきた。
香霖と魂魄、二人の姿はなかった。


岡崎は魔法使いに聞こえるように本の題名を高々と口にした。
以下全力逃走。
後で岡崎が謝りに来たが、あの二人にはあとで一泡吹かせることに決定。