○月 □日 No184 小悪魔と紅魔館


紅魔館の従業員の中には、うちの現地駐在員となっている妖精たちや魔界からの出向者が多数紛れ込んでいる。
その図書館にはノーレッジ氏を世話するデーモンがいるのだが、この娘は魔界からの出向らしい。 ご苦労なことだ。
本人に言わせれば、紅魔館の暮らしはそれほど悪くないと言う。 
衣食住そろっているし、仕事も極端にきついわけではない。 本は定期的にはいるので外の情勢に疎くなる心配もない。
魔界は経営が最近悪化しており一時期は給料の遅配もあったらしい。
つまりこの出向は体のいいリストラクチャリングといったところか。


彼女に悩みがあるとすれば何時まで経っても精神的な成長が遅すぎるヴァンパイアの主人のことだろう。
600年間生きているヴァンパイアだが周囲の環境がまるで変わらないため、子供っぽい発想が抜け切れていないのが
大問題である。 特に事態を悪化させているのがメイド長で、自分でも気づかないうちにヴァンパイアを
子ども扱いしているので余計に大人としての態度とかを身につけてられない。


今日彼女に話を聞いたのは、うちの職員でメイド長の怒りを買ったものがいたということだ。
その人物はうちの会社を退社したのだが、事情を聞いていなかったのでいまいち対処に困っていた。
ノーレッジ氏は緊急事態以外は、外の喧騒を無視して自分の趣味に浸っているのでなかなか聞き出せないでいた。
聞けば何のことはない。 メイド長を口説こうとしていたらしい。
恐らくであるが、彼女の過去をネタにしたのではないかとということで見解の一致を見た。
私も上白沢に話を聞くまでは、メイド長に過去の話はタブーであることは気づかなかったが
少なくても妖怪扱いをして言葉を選んでいたため難を逃れていた。
このメイド長に関しては謎が多い。 会社でも資料は少ないが事情を知るものは社内に何人か心当たりがある。
機会があれば聞いておきたいところだ。