○月 □日  No280 幻想郷の栄養


スーパーの一角で北白河と鉢合わせる。
お互いの買い物カゴをチェックするとなかなか面白い。
北白河のカゴには鮮魚が多い。 
幻想郷では物流が弱いので新鮮な魚の入手が難しいからだ。
山の幸は幻想郷の食べ物がナンバーワンだが魚については、
生魚を食べないように常に指導している。
現代人は清潔な食べ物ばかり食べているから食中毒に対して耐性が低いのだ。
私はと言うと調味料ばかりたくさんである。 
新入社員がしばしば調味料を忘れるので最近は幾つかのビンを
用意しておいている。 
調味料は味覚にいいだけではない。 
体に必要な栄養分を補充するためになくてはならないものだ。
特に塩分の取得は最重要課題である。


もともと山国を切り出した幻想郷だがここで深刻な問題となるのが
ナトリウムの不足である。
たとえば、ジャングルに棲む原住民は山林を焼いてその灰をなめて
ナトリウムを補給している。
ところが幻想郷の山林は妖怪や八百万のカミの領域である。 
博麗大結界生成時は、ナトリウムを得ようとして
山林を焼こうとする人間と妖怪の間に小競り合いが起こった。
その時うちの会社の前身が隙間妖怪を通じて大量の塩を博麗大結界に送り込んだのである。
まさに幻想郷に塩を送っているのだ。
現在も幻想郷には毎回数トン単位の塩が運び込まれていると言われる。


妙に買い物の量が多いと思ったら北白河は今岡崎と一緒に暮らしているらしい。
とりあえず荷物を運ぶのを手伝ってやってから帰路に就いた。