□月 ●日  No912 朝倉理香子の手記


冬だというのに暖かい日が続きます。レティホワイトロックは仕事をしているのでしょうか。
過ごしやすい日が続くのは嬉しいのですが、車に入れておいた飲み物が温くなってしまっているのは
いただけません。 特売のジュースが温くて気持ち悪くて仕方有りません。
社食で買えばいいと言われますがお金を貯めるには日々の倹約からというではないですか。


最近ボスがチーフたちを月に送り込んでいるのですがどうにも納得いきません。
ボスは大丈夫と言ってますが、昔となにも変わっていない彼らに直接接しているのは
あまりに危険極まりないと思います。 
チーフは危険度は紅魔館より幾分マシと言ってましたが、私に言わせれば彼らは身分の違う
王侯貴族のつもりでいるに他なりません。


身分が違うという発想はすなわちどこまでも残酷になるということです。
子供が虫の体を弄ぶが如く、人間や妖怪がどうなろうと彼らには知ったことではないのです。
もちろん彼には月人と対峙するためのノウハウを可能な限りたたき込んだつもりです。
外の世界の常識を忘れないこと、彼らが使う幻想的ハッタリを真っ向から否定すること。
それこそが彼らに対抗しうる手段であると自負しています。


今日チーフが神下ろしについて質問してきました。
神下ろしは実は外の世界でも盛んに行われていることを教えました。
意外と知られていませんが、魔術の世界では神下ろしは割と気軽に行われているのです。
漫画の世界と言われたコンピューターと呼ばれる式神に神を下ろす実験もすでに
成功を収めています。 もちろんその事実を月人たちは気づいていません。
神下ろしはもはや月人だけの特権ではないのです。
また神とのシンクロ率が高い 守矢神社の巫女、浅間神社の巫女も押さえています。
彼女たちはスルーされて月人のやり方に近づけさせた博麗霊夢だけが不正な手段と
思われているのですから笑いが止まりません。 


今更ですが、もし月人が幻想郷に対して何かしら野心を持った場合の対抗策を
再構築しないといけないと考えています。
最初に執った手段は、偽物の月を浮かべることでした。
伊吹童士がニセの月をざっくり破壊した時は本気で焦りました。
外見こそ元に戻されましたが、込められた魔力を再現するには至りませんでした。
永夜事件の時オモイカネがやったあれです。 まさか彼女の猿真似だと気づいたのは
本当に皮肉としかいいようがありません。


ボスは地上は穢れていると規定することで自分たちが月に引きこもっていることを
肯定しているのだから放置した方がいいと仰っていました。
同時にこのままでは失われる月の文化を今回の貿易で少しでもサルベージしてしまおうと
考えているようです。
私はチーフの身に何かあったときは容赦なく列車の沿線を封鎖するつもりでいます。
今のところ可能性は低いですが、彼らが本性を現さない保証はありません。
彼らの動向を注意深く観察していきたいと思います。



たまには私もシリアスになるのです。
決して、今年の新卒が低レベルだったからじゃないのです。 信じてくださいね。