□月 ●日  No1206 ちょっと怖い地蔵菩薩


地蔵菩薩に悪戯をしたバカがいるらしい。
死神が珍しく愚痴っていた。 北白河が今時そんなアホがいるのかと失笑していた。
地蔵菩薩を少しでも知っていればそんなことをしたら大変なことになるくらい常識だからだ。


幻想郷の街道に配置されている地蔵菩薩
一定の距離毎に配置されており、いつも我々を見守っている。
地蔵菩薩は守り神であるが、重要な意味もある。
一種の治安維持装置でもあるのである。


たとえば人間達が道ばたで強盗をしようと考えたとしよう。
そんな時地蔵様を見ることで考え直すチャンスが生まれる。
地蔵様が見ている前で犯罪行為をするのは色々問題だからだ。
ここは幻想郷である。
地蔵菩薩は我々を監視していると言うのが正しいのかもしれない。


顕界におけるNシステムのような役割を持つとうっかり口を滑らせた閻魔様から
聞いたことがある。
Nシステムとは所謂ナンバープレート読み取り装置である。
特定の人物を追跡する時や盗難車を追跡する時に活用され、幹線道路に配備される。
これらは最終的に死者を裁く際の参考に用いられるともっぱらの噂だ。
当社が配備しているIRシステムと連携可能という噂もある。


ちなみに阿礼乙女が地蔵菩薩にお供え物をするのは
感謝の意というよりむしろお裾分けの意味合いが強い。
死んでから閻魔様の元で公務をする阿礼乙女が地蔵菩薩のシステムを知らないわけがない。


一応、地蔵菩薩に悪戯をしたアホは死神に警告されたというが
もうちょっと痛い目に遭わせた方がよいと言うのが社内のもっぱらの意見だった。
死神の回答はこうだ。
「知らない間に減点されれいたほうが怖いし、幻想郷的に有効だろ。」
なんともごもっともな話である。