□月 ●日  No1405 英雄の帰還


ネット転載天狗が月兎どもが道ばたで勝手に露天商など始めていると
こちらに通報してきた。
何でも販売している物に問題が有るらしい。


面倒だと思いながら現地に着くと、得体の知れない金属片を売っている
月兎を発見する。
聞けば路銀が尽きたので地上に行く途中で拾った珍しそうなものを売ってるらしい。
これなんか珍しいですよと言われて見せられたのは、なんと人工衛星
太陽光発電モジュールだった。


大気圏で燃え尽きそうになっていたから自分たちが持って行っても問題ないと
思って燃える前に回収したらしい。大きな部品類は回収できなかったが
すぐに外れるものは持って行ったとのこと。
一部とはいえ世間では燃え尽きたことになっている部品が見られるとは
色々と胸が熱い。


ネット転載天狗が衛星の出所の説明をしてくれた。
幻想郷に居ながら外の世界の話をしているのに違和感を感じつつも
遙か遠くを旅した観測衛星であることがわかった。
マニアが見たら幾らお金を積んでも惜しくないほどの価値があるらしい。


朝倉に連絡すると、この手の物はきちんと持ち主に返せと言われた。
信じて貰えるのかと尋ねると、マニアに売って信じて貰えるかが
問題だと言われた。 ちがいない。


結局、衛星を開発した機関に部品を渡すことにした。
最初は半信半疑だった担当者だったが、実物についている無数の傷を
見るなり、なぜか涙を流していたのが印象的だった。


世間では燃え尽きたとされる人工衛星
幻想郷から戻ってきた衛星は世間ではなかったことになりつつも
研究のため再び帰還したのである。


この件は決してニュースにならないであろう。
幻想郷の存在と外宇宙の知的生命体の話。 どちらも公表するには
インパクトが大きすぎる事実だ。
だからこの件は完全封印される。
研究所の奥底で次の衛星の糧となるだろう。


そんなちょっとした歴史的瞬間に立ち会えただけ今日は少しついている
と言えなくもない。