□月 ●日  No1534 記念撮影


薬屋のところに最新鋭のX線撮影機とCTスキャナを納入。
幻想郷に似つかわしくない最新設備に周囲は騒然とする。


最新設備にしないといけないのには理由がある。
薬屋の人的リソースの関係上、一定の数の患者を捌くために高速の撮影機が必要になったからである。
CTスキャナなどは撮影方法やコンピュータの性能により撮影時間が大きく変わってしまう。
従来なら30分かけて行っていた撮影を、5分程度で行うことができるのはとても大きい。


また部品入手も問題となる。この手の部品は出来る限り事故を減らしたいものだ。
幻想入りしたものはどうしても部品信頼性に問題がある場合が多い。
そこで例外的措置が必要となるのである。


例外的措置がもう一つある。 それは設置工事屋と技術者の手配だ。
こちらについても顕界から人材を派遣することになっている。
もっともメーカーの人間はこの件についてきちんと理解しており徹底した守秘義務のもと
行動を行うことになっている、
仮に、こういうことがあったと他人に話したところで誰も信じてはくれないだろう。
信じるとしたら多分モルダー捜査官くらいではなかろうか。


さて、新感覚の骨の映像に大喜びしたのは薬屋よりもむしろ妖怪達である。
物珍しさも手伝ってか病気にもなっていないのに撮影したい人が続出。
意味をきちんと理解している、自称現人神や一輪嬢やナズ軍曹が理解している命蓮寺の連中を
除き、薬屋に大挙して人やら妖怪が訪れる異常事態である。
まあ正体不明の鵺が来て貰ったほうが面白くはあったが。
仕方なしにレントゲン技師を数人置いたままにして期限を切って対応に当たることになる。


妖怪の骨格に技師の方が大混乱。中には骨格が映らない妖怪もいる有様である。
故障ではないと薬屋に言われてもきょとんとしている技師スタッフ。
最初はなにか突然変異だと言って騒いでいた技師達も途中からは慣れて
ルーチンワークに移行していたのが印象的だった。


それにしても姿を変えられる妖怪ども、いくらなんでも撮影前に都合の良い姿になるのは
いくらなんでも必死過ぎやしないか。 記念撮影するところじゃないのに。