□月 ●日  No1653 幻想入りの基礎知識


幻想郷には皆から忘れられたものが流れ着くと言われる。
そして、流れ着くための神隠しを一部システム化しているのが我々八雲商事だ。


幻想郷にやってくる商品はいくつものパターンがある。
ひとつは人妖達に直接頼まれた注文品。こちらは幻想入りしようともしていなくても無視して運び込まれる。
だから幻想郷で皆が忘れているわけでもない代物が置いてあるのだ。


ふたつめは法規制などによって流れてきた商品。顕界では法的制約で販売できないが商品として機能十分
な場合に適用される。在庫を処分したい業者が売り込みに来ることが多く、仕入れ値が安いのが特徴だ。
こういう商品はすぐに幻想郷に運ばれる。ゆえに幻想郷で最近出たような高度な家電製品が
出まわるケースが有るのである。


みっつめは本当に幻想入りした商品。長期保管などの理由で幻想郷で収納した方がいいもの。
こちらは八雲商事やエレンの倉庫などに保管される。
大体の場合はいわくつきなのでみっつめのパターンに酷似しているがうちの連中が管理している限りは
多分安心だ。


よっつめのパターンは危険だと言うことで封印された代物が流れるケース。
こちらはどちらかというと隙間妖怪のテリトリー。 ボンベだと思っていたら有毒ガスが入っている
代物だったり、不発弾が幻想入り商品と言うことで香霖堂に置かれているケース。


最近困るのがアスベスト。 こちらは香霖のチェックをあっさりかいくぐる為
本人への知識がないと本当に流入して困る。
つまるところ香霖が石綿だと言ったらこちらは全力で店で置かれるのを阻止しないとならないわけで。


確かにアスベストは保温剤として優秀なので香霖が誤認するのは至極当然の流れだ。
こういった商品を監視するためにうちの面子がたまに香霖堂の棚卸しをやっている次第である。
もちろん帳簿と中身が一致しないたびに北白河が暴れるがそれはそれ。