□月 ●日  No1882 まとも妖怪


八雲商事でヤマメ女史と言えば、幻想郷トップクラスのまとも妖怪の一人黒谷ヤマメである。
ぶっちゃけ朝倉よりも早くの段階で科学を用いた治療を採用し、風邪はウイルスがもたらしていると
強硬に主張したため、なぜか病気をもたらす妖怪と言われてしまった運が悪い妖怪である。
しかし、彼女が腐らないで済んだのは彼女に強力な理解者が居たからだった。


月人がそうである。月人達は自分たちの寿命をのばすために伸びない要因を探すと一緒に
ウイルスが持つ、複製能力が自分たちの寿命を伸ばす鍵と気づいていた。
故にヤマメ女史は月人からあり得ないほど好待遇を受けていたと言われる。


月面戦争の時真っ先に利用されたのもヤマメ女史だった。彼女が中立を守らなかったら
月面戦争はもっと早く終わっていただろう。この段階で疫病で月面人を攻略することは可能だったが
結局行使されることはなかった。お互いの顔を立てたというのが本人の談である。
彼女が地下、とりわけ地上と地下の「境界」に居る理由がここにある。


彼女が誤解された理由の一つにマゴットセラピーを真っ先に採用したこともある。
元々は彼女が栄養を得るために行っていたことを、更に治療の一環に昇華したものだ。
結果、彼女と接触した人間はほぼ片っ端から元気になって帰ってくるという不思議現象が起こった。
知っている人は、彼女を独占しようとして、危険な妖怪だと吹聴する者も少なくなかった。
困った話だ。


彼女が再び、脚光を浴びたのは八雲商事の出現である。
ここではじめて彼女に関する体系的研究がなされ、彼女の行ってきた行為がすべて合理的理由に
基づいていることが改めて証明された。
かくして、彼女は八雲商事にきわめて協力的な存在として、多数のファンを擁する存在となったのである。


余談であるが社内人気投票では、明羅女史が一位として、ヤマメ女史と朝倉の得票差は約5倍である
おっと誰かが来たようだ。