□月 ●日  No1994 素敵なブラック


うちの会社といえばどうしようも無いブラックであり、たぶん労災も派手に起こっているわけだが
一応は発覚していない謎の会社である。


まず自殺が通用しない。自殺したら中有の道で待ち構えその人物を回収する。
ちなみに、中有の道で回収されることを知っている人は自殺なんかしないので安心だ。
妖怪で神経をすり減らす人はあまり向いていない。ある意味順応する必要があるだろう。


八雲商事に入社して良いことといえばなんといっても持病の類を片っ端から治すことが
できてしまうことだ。薬屋あたりと仲が良くなると薬を融通して貰える。
顕界で治療できないような病気も治ってしまう。難病の類も問題ない。
八雲商事に障碍者枠が一応あるのだが、入社すると矯正されると聞いている。
一年経つともはや障碍者ですらなくなる。良いのか悪いのかはいまいちわからない。


うちの会社がブラックと呼ばれる由縁はなんといっても極端に長い拘束時間である。
幻想郷にいる時間を拘束時間と捉えればとの話だが、あちらの場合時間の進みも
遅いから割りとゆっくりとしている。ここである程度気晴らしができると
結構楽に仕事が出来るという具合だ。 
プライベートを極端に顕界に依存していると、どうしてもブラック会社として映るようである。


そんなわけでうちの会社を辞めるとどうなのか。
まず同じ業種には入れないし、秘密を持っていれば発言内容も調査される。
そんなわけで、酒場のバーテンダーとして働いている人が出るのだが、彼らは彼らで
自分で得た人脈をそのまま商売にしているようだ。


そんなわけでうちの会社に入る際はくれぐれも覚悟して欲しい。
かわいい女の子と知り合えると言いたい場合は破滅覚悟でよろしくお願いします。
死ねば逃げられるわけではありませんので。