幻想郷の妖怪達も外の世界から流入することによって少しづつだが文化的特性を変えてゆく。
妖怪達といえど、外の世界の便利な暮らしになれていた場合は、幻想郷が不便に感じる場合がある。
正直なところそこまで不便を感じていたら顕界に戻ってくれと思う時もあるのだが、本当に
戻る場合もある。
好景気によって乱開発されていた時代が終わりを告げて、開発によって作られた建物は
あっという間に廃墟になってしまった。人が住まなくなった家というのは半年とか一年程度で
ずいぶん荒れ果ててしまうものだ。 こうなると妖怪達の格好の住処になる。
妖怪達の中にはそういった住んでいたところが元に戻るのを見て帰還を決意する場合がある。
最近ではこうした帰還についても比較的寛容になってきた。
まあ、糞狸どもの事例が重なればそうもなってくる。一度外れたタガは簡単には元に戻らない。
とはいえ何も考えずに幻想郷から顕界に行く場合は色々ハードルが高い。
まず貨幣経済故の収入の問題や、支払っていない住民税などの支払いなどがある。
これは社会保障を受けたい場合は払わないといけないコストだが
税金払えば皆市民というルールも色々閉口する。
八雲商事にはこうした妖怪達の相談室というのがあり、戻れないのかと言う相談を
受けるケースが多い。
面白いのが幻想郷に行ってからの年月を誤る人が多いと言うこと。
大体5年というと10年くらい幻想郷住まいって妖怪が多い。
また、残っている有価証券類を見たら全部使えなくなっているなんてこともざらだ。
顕界ではこうした乱開発で妖怪達が有価証券類を持ったまま幻想郷に行ってしまい
宙に浮いた株券を電子化という手段で無効化するという面倒なことを講じている。
土地の名義を持っているという妖怪が居たので、そこの情報を役場で取り寄せたら
住民税 県民税滞納で多くの土地が競売に掛けられていたなんてこともある。
戻ったところで土地は無いですよと答えたらすごすごと帰っていった。
逆に現金をまだ持っている妖怪も居る。こちらはデフレによってお金の価値が
跳ね上がり、顕界へと旅だった。住民税滞納もきちんと支払っている。
個人的には生活保護を受けることにならなければ大いに結構だと考えて居る。
まあ、幻想郷から顕界に戻ってもついていけずに戻る妖怪も多いわけだが
それはそれである。