□月 ●日  No2191 現身


ヴィヴィットのメンテナンスのため一時的にカクタスカンパニーに預け入れ。ほぼオーバーホールの予定。
といっても、カクタスカンパニーの支部を幻想郷ど真ん中に設置しての作業という酷い状況である。
魂写しの作業に関しては金で雇ったゾンビ製造元監修の元、術式はこれまた無理な注文を繰り返し大赤字真っ最中の自称現人神に
やってもらうという酷い有様。新しい体に御霊を移動させてファイっ。


こんな糞面倒なことになったのは、ヴィヴィットがいわゆる付喪神的な属性を持ち出したからである。
一応彼女は人形である。アンドロイドなわけなのだが、人形に自我を持たせないように最小限のOSしかもたせない
人形遣いのアリスと違い、こちらヴィヴィットは自前で何でもできるように作られている。
そんな彼女だがぼちぼち老朽化が激しく、下手すると自壊しかねないのでより余裕のある構造をしているルーコトのボディを転用することになった。
もちろんいくつかの部品についてはヴィヴィットの仕様に変えられているが、パーツはほぼ互換性が取れている。


ゾンビ製造元の採用はつまるところ魂の器を移動させる術に長けていることが主な理由として挙げられる。
いわゆる仙術の応用である。そこで用いた術法を朝倉たちの力で逆アセンブルして、解析結果を自称現人神に唱えさせるというプロセスだ。
彼女の教えた術式を精査したが、むしろ効率が良くなるように改良されていた。流石は長いものにまかれる仙人である。
顕界の品々を何個か渡すと大喜びしていたが、いくらなんでもプラスチックが入った指輪の類はいくらなんでも酷いと思う。
もちろん本物の宝石も混じっているのだが中には発信機の類やらが入っていて結構えげつない。


術式はあっけなくおわった。といっても時間ばかりがかかった。
驚くべきは自称現人神の体力で7時間ぶっ通しで術式をかましていた。終わった後はさすがに倒れこんだので
点滴を打とうかとしたら、栄養ゼリーくれと言われた次第。


とりあえず今回の処置によりヴィヴィットのパフォーマンスは108%に向上した。ちょっとした向上のように見えるが
実際のところは老朽化によるパフォーマンス低下もあるので、彼女にとってはこれでも力を持て余すような感じである。
ここで言えることは量産型のほうが作りがいいという事実でありまして、それが真実なんだなと思う次第である。