□月 ●日  No4639 幻想世界不要

 唐突であるが米帝における妖怪事情について話しておきたい。
 幻想郷に米帝支部が存在しない理由の話。そもそも米帝の場合妖怪と人間を
分かつ境界が極端に少ない。もちろん悪さをするものもいるので彼らは民間の
幽霊処理会社がまるでネズミの駆除のごとく処理をするのが基本である。
 彼らの活躍は映画にもなっているほどポピュラーなもので、危険ではあるが
儲かる職場ではある。
 
 もちろん1800年後半は幻想世界と顕界を分ける境界があちらこちらで発生したのだが
そのどれもが成功したわけではない。ほとんどが失敗して崩壊している。
 ゆえに幻想郷は極端な多国籍妖怪の住まう場所になっている。
 しかし、そこに米帝の妖怪はほとんどいないといっていい。

 なぜか、彼らが儲かることがわかったからだ。それは偉大なるショーマンによるものだという。
彼は、人妖おかまいなしに対等に契約しショービジネスで成功させる道を作った。
 ショービジネスで成功すればあとは簡単だ。つまり自分たちの能力をつかえば
お金になる、しかもこの国は自己責任の名のもとに保険もないし、その分社会負担金も少ない。
 はっきり言って彼らにとって暮らしやすいのである。無理して幻想世界なんて
作る道理は存在しない。寧ろ、自分たちにとって邪魔となった別のフリークスたちを
こちらの幻想郷におくりつけてもいた。
 そりゃ崩壊しますわ。必要性感じないし必要性がない。傍から金だけ出していれば
海をまたいで厄介払いもできるわけですよ米帝で幻想世界つくるよりMIBやっていたほうが
儲かるってもんですよ。
 

 まあこのショーマンが、実は魔術師だったとか、高名な呪術師だったとか
色々ありますが、ともあれ米帝は割と真っ先に妖怪変化を活用することに成功し、
彼らが生み出す富はのちに夢を生むことになるのだがそれは後の話。