■月 ●日 No4851 期せずして
黄昏酒場群はしばらく休業らしい。
なんでも人間の入場は制限しているんだそうな。
つまり妖怪ならOKである。
なんでOKかといえば、妖怪たちの情報収集のためである。
特に妖怪の中でも医療従事者たちが集まることも増えている。
彼らは夜間に仕事をし昼間に集まっているのだ。
彼らは有利である。人間の病気にほとんど罹患することがないからだ。
つまり物事を俯瞰的にみられるし、危険な場所に突撃もできる。
彼らに言わせれば今はボーナスステージである。確かに疲労はきついが
それは人間の水準であるならばだ。
しかしながら同時に彼らは院内感染の要因になりうるので厄介でもある。
彼らは罹らない、つまり症状も出ない。そして体表に付着した菌はやっぱり
人に感染させる可能性が高い。それが彼らのジレンマである。
治療はできる。医師免許を持っている者もいる。呼吸器や感染症の知識もある。
ゆえに彼らは大変である。
ちなみに妖怪変化がなんで感染症を研究するのかと言えば
自分とは関係ないところで変な属性が付くのを恐れるからである。
その要因の中に感染症があり彼らは早期から感染症対策に乗り出している。
最初は人間に対抗するための武器としてだったようだが、今では
人を救ったほうが良いという考えだ。ぶっちゃけ儲かるし、社会的地位も高いのだ。
食い物だって不自由しないわけだから当然である。