■月 ●日  No5020

 「り~か~こ~」
 「あっ、姫ちゃんちょっと目が据わっているんですけど」
 真っ青な顔の朝倉の前に仁王立ちする小兎姫の図。指さしているのはインヴォイスのようであるが。
 「TACでしょ これTAC なんで幻想郷に持ち込んでいるのよ」
 「これにはのっぴきならない理由がありまして~」
 朝倉が小兎姫の剣幕に押されている珍しい光景だが、TACってなんだと。
 「Tac-nuke」のことですよ。
 独り言が出てしまったのか、部下の櫻崎がフォローしてきた。
 ってファッ?

 「Tac-nuke」 すなわち戦術核。
 んなもん幻想郷に運び込もうとしていたのかい。
 月面人と戦争になるならいざ知らず、いや月面人にTacなんか持ち込んでも
 多分意味はないんだろうから、そいつが効果が出そうな敵というのが正しいのか。
 
 「で、何に使うか、教えてくれるんでしょうね?」
 あちらはあちらで絶賛シュラバーン 、
 「いやあ、いざとなった時に使用するというか」
 朝倉この期に及んで、とぼけるがこれ絶対心証が悪くなる奴。

 まあ大体見当はついている。連中があのゲートを使っていったい何をしていたのか。
 もしも幻想郷内部に何かしら危ないものをリークしていたとしたら
 最悪その場所を完全に切り離し隔離もありうるだろう。
 朝倉がTACを持ち込んでいる時点で、それはかなり危険なものと言えるだろう。

 なにしろその会社を上場ゴールにしてしまうものなのだから。