■月 ●日  No5066

 「あーあのバカがあ、なんであんなの引き込んだあ」
 あのチーフがヘビ人間とか色々な人を勧誘したのを知った小兎姫は
 コミカルな動きで大暴れしていた。
 「先輩、大丈夫ですか?」
 その様子を部下である櫻崎比良乃が心配そうに見つめている。
 
 あんなのと言うのは当然である。
 そもそもこのヘビ人間、霊能局とは敵対組織の人間だったのだ。
 しかもどうみても幻想世界の情報を敵対組織に送るような行為であるから
 小兎姫の怒りは当然であった。
 
 だが、小兎姫は知らない。
 彼らが人間クラッシャーと名高い、あの邪悪な明羅女史の下で働いていることを。
 たぶんヘビ人間であろうとも、いやヘビ人間は真っ先に自分がヘビであることを
 捨てるであろう。そして彼女の正体を知るまで、彼らは明羅女史の舎弟として
 働くのだ。

 「それじゃ完全に彼ら牙を抜かれますね。そのほうが世界は平和だけど」
 北白河の話を聞いていた櫻崎はそんなことを思い出しつつもポテトチップスを食べながらコーヒーを啜っていた。
 ちなみに生来のサークルクラッシャー明羅女史にかかれば、彼らが祀っている
 ターゲットを聞き出すことはさほど造作もないことである。
 そんなところに櫻崎の携帯端末が鳴り出す。相手は、もちろん明羅女史だった。

 「あっ、明羅さんこんにちは。 卵の場所わかったんですか?」
 「んじゃ先輩送り込みますからそこんところよろしく。」

 普段は猫を被っている櫻崎であるが、この時は年齢相応の発言に変わる。
 「せんぱーい、ヘビ人間の本拠地わかったそうですから、焼きに行きませんか?」
 「ホント?」

 さっきの行動はどこへやらすっかり上機嫌になった小兎姫はてきぱきとヘビ人間
 撃滅計画を立てるのであった。 なーむー。