■月 ●日  No5287

 まあほらよくある話として、忘れられた駅ってのがあるじゃないですか。
 今回は真壁さんと一緒に行動した時にあった話。
 妖怪退治の最先端をどうぞ。

 真壁女史、おもむろに壁に穴をあけます。綺麗な円筒の穴。
 「いったい何やってるんですか?」
 「コア抜きです」無表情のまま真壁女史、円筒のコンクリートを観察しております。
 もうなにやってるんだこいつと思いましたが。
 「偽装レベルが低い」と一蹴しました。
 なんでもコンクリートの中性化状況から、表面だけ古く見せかけた新品であるとの
 評価だそうです。これだからエンジニアは。
 
 「あーこれ施設まで擬態しているやつですか?」
 「低レベルで、もうちょっとマシな仕事してほしい。」
 真壁女史どこまでも辛らつ。すると真壁女史怒りのマシンガンボイスがやってきた。
 「この防火設備あるでしょ」
 「これ、今の告示仕様なんですよ。まったくもって勉強不足、妖怪の風上にも置けませんわ。」
 「はあ。」
 「素人なら騙されるかもしれませんが、時代劇の施設に「奉行所」って看板つけるようなものですよ。」
 「ああなるほど」
 
 昔の奉行所なら看板なんかつけるわけがないのでこの意見は納得である。
 そうこうしているうちに、それが精神攻撃として作用したのか、人間型をした本体がやってまいりました。
 「そこのあなた、そこに座りなさい」
 真壁女史の迫力に二人で正座になる私たち。
 「そもそも、この法律は今から数年前のラーメン屋の火災によって改正された法律以降の
  仕様なのです。あなた、きちんと調べてから環境構築しましたか?」
 震える声の本体。
 「いえ、某ゲームからとりました」
 「きちんと本物を、取材なさい」
 「はい」二人でハモる。
 
 「あのお言葉ですが、真壁さん、これって是正工事の結果とか、」
 「だったらこのように劣化させるわけないでしょ。仕事が雑」
 「は、はい」

 結局、解放されたのは一時間後でした。
 今後は建設省建築士向け講習会に参加するようにと言われてその本体は解放されました。
 
 これが現代における妖怪退治です。
 もうね。