□月 ●日  No802 ご先祖様総立ち?


幻想郷で仕事をする上で情報収集は欠かせない。
と、いうより予め情報がないと命すら関わる。
たとえば時間を止めることができるメイド長や、相手の心を読むことができる地霊殿の主人
空からたらいを落とす井戸妖怪など、知らないと危険すぎるのだ。


さて、今回のお客様。 
放蕩妖怪としておく、とにかく色々なところへ遊び歩いている迷惑千万な妖怪だ。
地霊殿の主人から彼女にお菓子を送って欲しいという普通なら他愛のない業務である。
しかし地霊殿の主人の特性を考えれば、この人物がまともな奴ではないことは間違いない。
多少のことなら動じないように予め想定できることは手をつけておく。
すると地霊殿の主人から先立って紹介すると言う話を聞いた。
嫌な予感がしていたが、深夜で速攻的中してしまった。


この妖怪、夜に先祖を枕元に置いて相手を動揺させるのが得意らしい。
知っていればどうってことはない。 恐怖を感じる必要もない。
がしかし、枕元に立っていたのは 猿、ネズミ、サンショウウオ、魚、そして原生生物だった。
斜め上過ぎる。


考えてみればこれは当然の帰結だ。
そもそも人間の歴史など進化の歴史に比べれば大したことはない。
それに、隠された生命の歴史は実は我々が生まれる前に一度通り抜けるのである。
それは、母親の子宮の中、受精卵は人間の姿になる前に進化の道を再度たどると言われている。
それら生命の記憶にあるものが立っていると考えるとなるほど、今度の妖怪は一筋縄にいかないが
なかなかユーモア溢れる存在のようだ。
途中でそう思い直したらご先祖総立ちも大したことではない。
生き物が今の姿をしているのはこの星の大変動が生んだものだからむしろ有り難がるのが正しい筈だ。


こっちが無反応になったのがよほど面白くないのか結局何もしないまま相手が退散した
もしかしてこれをやったのが、今回のお客なのだろうか。


朝倉に事の顛末を話すと、なんでも無意識を扱うことができる妖怪だそうだ。
この無意識というのがなかなか難しい。 どこをもって無意識とするのかが定義が難しいからだ。
ということは、例えば小脳が司る部分、生命維持に基本的な部分まで制御できたら
白玉楼のお嬢様よりも危険な存在といえる。
あまり、関わり合いたくないがそれでも性格はまともという情報を信じるしかないだろう。


無事に帰ってこれたら続きを書く。
他の社員が地霊殿の主人にあったら酷い目に遭ったと言っていたが
大丈夫、エログロ変態な事を想像しても彼女は動じないってことは知っておいた方がいいかも知れない。




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