2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

○月 △日  No364 たくましく育ってください

ヴィヴィットを連れてはじめての納品。 香霖堂で雑談をしていると涙目の鴉天狗らしき人物が乱入してきた。 「らしき」と書いたのは、彼女が普段かぶっている山伏帽子ではなく 髪の毛がきれいに収まるような深い帽子をかぶっていたからだ。 いったい何があっ…

○月 △日  No363 騒霊加算

新築したばかりのプリズムリバー三姉妹の建物の一部にクラックが入ったというので 里香女史と動向で調査に出かける。 建物内はえらいことになっていた。 調度品はことごとく落下してガラスは数枚割れている。 防音仕様のため、厚手のガラスを用意してさらに…

○月 △日  No362 身内の安全を守ること

北白河が早い夏季休暇に入った。 お盆になると幻想郷が慌しくなるため 先行で休みを取らせるのである。 実家に帰り大学のころの友人に会ったり、色々と遊んだりするらしいのだが 一緒に冴月やヴィヴィットをつけることになっており、 少々物々しい雰囲気とな…

○月 △日  No361 花に追われた恐竜

ヴィヴィットの学習と社員研修を兼ねて朝倉講師で カンファレンスが開かれた。 妖怪の能力がいかに強大で危険かを説明するためのもので、 一ヶ月に一回は開催されている。 今日の話題は"風見幽香"である。 うちの会社作成の危険度ランクでは隙間妖怪と同等と…

○月 △日  No360 この限りない細部に我々が見失うモノは?

幻想郷では科学技術と魔法が混在し、その境界はとても曖昧である。 河童や天狗たちが科学技術を用いているかと思えば、魔力を用いて人間の活力の元である ATPを得る技術までも確立している。 魔法の構築はとてもロジカルなプログラムによって行われている…

○月 △日  No359 「ド」はどいての「ド」

メイドロボ「ヴィヴィット」がやってきて一週間経つ。 彼女は順調に手遅れになっている。 良くも悪くもスレたといってもよい。 時間は守らない。仕事は以前と比べて適当になっているし バーゲンセールで必死に詰め合わせのビニール袋を押し広げ無理矢理物を…

Intermisson 4

はじめまして、八雲商事物資管理課 副所長を務める朝倉理香子と申します。 よろしくお願いいたします。 当セクションでは、妖怪たちの隔離地域である博麗大結界内の情勢監視と 物資輸送を中心とした業務を遂行しています。 今回のカンファレンスでは、博麗大…

○月 △日  No358 ご都合主義は通用しないこと

仕事が暇になったので会社の休憩室でテレビを見ていたら、久々にアニメを見てしまった。 強大な敵に立ち向かう主人公の話で、いつもながら同じような展開とわかっていても つい見てしまうものである。 そこにあのメイドロボを引き連れたボスがやってきた。 …

○月 △日  No357 米帝のメイドロボ出陣

朝出勤すると、見慣れないメイド服の女の子が机の上を拭いている。 新入社員にメイド服を着せる奴は一名しか考えられないので問い詰めたら、 米帝からやってきたメイド型ロボットらしい。 ロボということで何かしらの軋轢が起こるかと思いきや 普通に新入社…

○月 ●日  No356 咲き乱れる花と縁の力

閻魔様が幻想郷や三途の川で咲き乱れた花がようやく処理完了したという話をしていた。 "まだやっていたのか"が第一印象だが実態は結構面倒なことになっていたようだ。 古来より戦争で亡くなった人は、その念が遺り続け鎮めるのには永い時間がかかると 考えら…

○月 △日  No355 閻魔様だから許される  のか

閻魔様がオフを利用してボスに会いに来ていた。 なにしに来たんだと思ったら水着を買いに来たそうだ。 横で魂魄が「スク水でいいだろうが」とぼそっと言ったら 次の瞬間、吹っ飛ばされ資料の中に埋もれてしまった。 いつもいる死神の従者の姿が見えない。 岡…

○月 △日  No354 受け売り

幻想郷の絵師というのは非常に面白いポジションにある。 紅魔館などの結界生成後にやってきたヨーロッパ系の絵画の影響を受け、 日本画とも西洋画とも違う独特の画風が存在する。 特に明治政府の殖産興業による日本画の大量生産が幻想郷では存在しなかったた…

○月 △日  No353 個人面談 新しいビジネス

うちの会社では定期的に上司との個人面談が行われている。 概ね一ヶ月に一度のペースで行われており、自分の目標達成のためになにが必要かを アドバイスしてくれたり、意見を交換したりするための場である。 面接してくれるのはうちのボスである。 朝倉では…

○月 △日  No352 お供え物と込められた想い

八百万の神様にお供えする芋に我々の世界の芋が混ざってしまった。 スタッフ騒然、里香女史の顔は真っ青になっている。 検疫部のミスですめば良いが、八百万の神の機嫌を損ねて幻想郷の 食料自給が損なわれてしまう可能性もある。 幻想郷の野菜は我々が知る…

○月 △日  No351 逝こうよ楽しい新聞の世界

天狗の印刷所にペーパーセメントを納品しに行く。 印刷所はまだDTP化が遅れていて、未だに写植が幅をきかせている状態だ。 もっとも出版物は概ね速報性なんて重視されていないのでそれで困ることはない。 印刷所に着いたら足下に注意しないといけない。 寝袋…

○月 ×日  No350 ヴァチカンの宗教学者

ボスから、ヴァチカンの天文学者たちはキリスト教が 「生命は神様がこの星にだけ遣わせた奇跡である」という教えがあるにも関わらず、 何故か地球外生命体が存在することを前提にした研究をしているという話を聞いた。 過去、地球外生命の存在を予見した哲学…

○月 ×日  No349 幻想郷でも台風対策

幻想郷だからといって台風が来ないわけでも地震が来ないわけでもない。 河童の天気予報システムがあるのも台風接近を観測するためのものだ。 だが、幻想郷における台風は結界の外の世界よりはるかに深刻である。 建築物は外の世界よりも遙かに弱いため、建物…

○月 ×日  No348 魔法の森のキノコたち

幻想郷には巨大キノコの群生地がある。 阿礼乙女の文献ではここを魔法の森と言うらしい。 だが結界の外の世界でこのようなキノコの群生地帯は存在しない。 幻想となった風景が幻想郷によみがえるとしたら、このキノコたちは どこから来たのだろうか? 朝倉に…

○月 ×日  No347 駄目人間の宴

「痴漢に遭いたい」 朝倉がまたアホなことを言い出した。 朝、北白河がスカートの中を覗き見されたと騒いでいたら この朝倉の一言で全員が静まりかえった。 北白河が「色っぽい服装を着たらきっと遭います」と言ったら 「それで遭ったら苦労しない」と返され…

■月 ◇日  No346 完璧で瀟洒な

紅魔館のメイドは世間一般で言うところのメイドとかなりニュアンスが 違っていると思う。 言うなれば住み込みの仕事みたいな雰囲気だ。 私がメイドという言葉を聞くと身分としてのメイドか、秋葉原に生息している コスプレ女くらいの感覚しかない。 そこにい…

■月 △日  No345 冥界帰省ラッシュ

お盆と言えば幽霊たちの帰省ラッシュである。 お盆は地域によって時期が違うがこれは単純にラッシュ分散のためらしい。 三途の川が上り下りでごった返し渋滞が生まれる。 さながら顕界の高速道路のようなものだ。 墓場に幽霊はあまりいない。 妖怪たちがお供…

■月 ●日  No344 天知る地知る

幻想郷内に侵入者が現れたことを伝えるアラームが鳴り響く。 月ウサギが一匹紛れ込んで博麗神社に潜り込んだらしい。 巫女にもしものことがあったら玄爺と冴月がいつでも 月ウサギを殺れるように待機していたようだが今回は待機後放置の流れらしい。 恐らく…

○月 ×日  No343 七夕哀歌

七夕である。 天の川によって隔てられた織姫と彦星が会うことができる日である。 夕方過ぎに納品をしていたところ香霖が空を見上げて複雑な表情をしていた。 「知らぬは彦星ばかりなりか」と意味深な言葉を発していた。 帰って魂魄にそのことを話すと、どう…

■月 ×日  No342 それはコントロールされた現象か

月で米帝の旗が引き抜かれたせいで、旗を引き抜いた犯人捜しが アマチュアの天文学マニアで流行しているらしい。 月側に言わせればこれほど藪蛇な事態はない。 月の魔力の一部は幻想の力でもある。 月の観測が続けば続くほど、月の結界は擬態を続ける必要が…

○月 ●日  No341 幻想郷におけるペット事情

幻想郷のペット事情はやっかいである。 ペットだと思っていた動物が妖怪だったということが結構あったりするからだ。 井戸の前で橙が野良猫に訳のわからない演説をしているのを見かけた。 おそらく猫同士の情報交換をしているのだろう。 虐待なんかしている…

○月 ×日  No340 お洗濯は重労働

幻想郷での洗濯。 当然化学洗剤は使えないから代用品を用いる訳なのだが それは糠汁である。 ところがこいつは現代の化学洗剤に勝るとも劣らない強力な洗浄力を 持つのだから侮れない。 幻想郷にいけば井戸端会議の原型にも立ち会うことができる。 そもそも…

○月 ×日  No339 少女たちのダイエット

幻想郷の少女たちに「ダイエット」という単語は存在しない。 特に高カロリーの食事をよく食べる紅魔館でもそのスタイルは 驚くほど均整がとれている。 私の納品経験から導き出した彼女たちのダイエット事情を紹介すると 努力型 魔法型 関係なし型 に分類でき…

○月 ×日  No338 我々は幻想の世界を燃料にしている

現代社会は化石燃料を消費して維持している。 最近ではメタンハイドレートの利用が 急ピッチで進められているわけだが、これは地球温暖化によって海底のメタンハイドレートが 溶け出して更なる温暖化を招くためである。 ボスは化石燃料のことを「妖精の屍」…

○月 ×日  No337 空を飛ぶことは寒いことだ

幻想郷の妖怪はズロースの着用率が高いと言われる。 空を飛んでいると下半身が冷えるためで、どちらかというと 防寒のための知恵といったところだろう。 以前メイド長がストッキングに見せた股引を穿いているところを目撃したことがあったが あの時は正直心…

○月 ×日  No336 真実を写す鏡?

幻想郷でガラス鏡と言ったらとても高価な代物である。 当時まともなガラス職人が堺に集中していたため結界で分離された途端に 入手が困難になってしまったためである。 香霖は結界の外からやってくる外の世界の鏡を売って結構ぼろ儲けしたことを自慢していた…