■月 ×日  No342 それはコントロールされた現象か


月で米帝の旗が引き抜かれたせいで、旗を引き抜いた犯人捜しが
マチュア天文学マニアで流行しているらしい。 
月側に言わせればこれほど藪蛇な事態はない。
月の魔力の一部は幻想の力でもある。
月の観測が続けば続くほど、月の結界は擬態を続ける必要がある。
マチュア天文学者とはいえ今やネットが世界を駆けめぐるこの現代社会において、
こうした祭りによる参加者は洒落ではすまない数となる。
月の結界にもかなりの影響が発生していることが観測結果からも見て取れる。


月の結界も万能ではない。
観測が絶え間なく連続して行われると、結界も四六時中擬態状態を繰り返し、
しまいには疲弊してしまうのである。
ボスはそんな月ブームの新聞記事を見て、ニヤニヤと笑っていた。
「戦っていないよ。 観測しているだけだよ」というわけである。
観測によって月にどんな影響がでるとは知ったことではないともいう。
無言の嫌がらせとはまさにこのことを言うのではないだろうか。


今思えば月への観光旅行も、たくさん打ち上げられつつある月への観測衛星も
全部この日のために用意されているものではないだろうか。
宇宙開発が核ミサイル研究の擬態であったように、今回の月の観測ブームもまた
何か特別な目的があるのではないか。 そう思ってやまないのである。