○月 ●日  No341 幻想郷におけるペット事情

幻想郷のペット事情はやっかいである。 
ペットだと思っていた動物が妖怪だったということが結構あったりするからだ。 
井戸の前で橙が野良猫に訳のわからない演説をしているのを見かけた。
おそらく猫同士の情報交換をしているのだろう。
虐待なんかしている不届き者は確実に報復を受ける。
そこが結界の外とは違うことだ。 
動物愛護関係者は理想郷のように映るかもしれない。
もっとも報復といっても殺す殺されるという内容ではなく、至って平和的なものだ。
家の前で小便をするとか、七輪で焼いていたサンマを盗むとかそんなレベルである。


幻想郷にいるペットたちはなぜか死ぬ姿を見せたがらない。
どういうわけか、死期を悟ったペットたちは飼い主から姿を消すのだ。
かごに入っていても結果は同じ、おそらく同じ動物のコミュニティか妖怪たちが
逃がしているのかもしれない。
ひとつは飼い主を悲しませないため、もうひとつは妖怪として昇華するためといわれる。


彼らが妖怪に昇華するプロセスは実際に見たことがないからわからないが
上白沢の話では、たいていの動物は妖怪になることはないということだ。
またペットが妖怪になりたがっていたとしても、仮に飼い主に恋をしたというケースの場合は
お上からストップがかかるそうである。
色恋沙汰が絡むと人間も妖怪も刃傷沙汰になるのは変わらないかららしい。
上白沢に自分の地元は動物を捨てる輩が結構いると言ったら、
「きっと報いを受ける。 報いを受けるタイミングを逃したら蓄積して大変なことになる」と
言っていた。 
生き物を飼うときは最期までいたいものである。