○月 ×日  No340 お洗濯は重労働

幻想郷での洗濯。
当然化学洗剤は使えないから代用品を用いる訳なのだが
それは糠汁である。 
ところがこいつは現代の化学洗剤に勝るとも劣らない強力な洗浄力を
持つのだから侮れない。


幻想郷にいけば井戸端会議の原型にも立ち会うことができる。
そもそも井戸端とは、公共の洗濯場所のことである。
ここに行くと確実に人間に擬態した鴉天狗に会うことができるだろう。
情報収集の基本は主婦たちのとりとめのない会話というわけだ。


妖怪たちも洗濯にはかなり苦労している。
おもしろいのは紅魔館の洗濯に立ち会った時だ。 
なんと衣服を煮沸消毒しているのである。
メイド長が箸みたいなもので服を取り出しているのを見て
そのシュールさに吹き出しそうになった。
これはかつてのペストの大流行に対応するためだそうで、
紅魔館へ納品する衣服をどのように作ればいいか
大きな参考になる。


河童たちは普通に全自動洗濯機を使っていた。 
あまりの光景に風情が足りないと言ったら、
私たちの高度な技術力に嫉妬しているのねと言われてしまった。
勝手にしてくれと思っていたら背後で洗濯機がガラガラと
音を立てたあげく焦げ臭い臭いがあたりにたちこめてしまった。
おそらく光学迷彩服に使われるグラスファイバーが解れて
ドラムに絡みついたのだろう。
やっぱり幻想郷はどこか適当である。