○月 ●日  No356 咲き乱れる花と縁の力


閻魔様が幻想郷や三途の川で咲き乱れた花がようやく処理完了したという話をしていた。
"まだやっていたのか"が第一印象だが実態は結構面倒なことになっていたようだ。


古来より戦争で亡くなった人は、その念が遺り続け鎮めるのには永い時間がかかると
考えられている。 だからこそどこの国でも戦没者を慰霊する施設が建てられている。
ある場所では英雄を祀る場所として、そしてある場所は悲劇を残すためであるが
本質的な部分は同じだと思う。


こうした「英霊」たちは呪いのハブになったりするので駆除するべきと考えていたのだが
閻魔様に「これだから俗物は」と言われてしまった。
実は彼らは人間にプラスに働くこともあるらしいのだ。


たとえば「新幹線」の開発者たちは兵器の開発者であったが、彼らの
「自分たちの技術を平和に役立てたい」の念に呼応した英霊たちが様々な縁を総動員し
結果的に夢の超高速列車を生み出したという事例があるという。
偉大な発明や文明の利器が生まれる背景には、そうした目に見えない者の
縁を無視することはできないというのだ。


岡崎や北白河は閻魔様のこの言説に深く頷いていた。
彼女たちもボスに拾われなかったら今頃どうなっていたのかわからない存在だったから
当然のことかも知れない。
里香女史が「朝倉さんにはよい縁がないようですね」と言ったら
閻魔様曰く「あの人は果てしなくマイウェイだから、本人は目に見えぬものを認識しても
相手が寄りつかない」という。


なんとなくここの人間関係の一端が見えたような気がしたので
とりあえず他人の振りしてその場を離れた。