○月 △日  No355 閻魔様だから許される  のか


閻魔様がオフを利用してボスに会いに来ていた。
なにしに来たんだと思ったら水着を買いに来たそうだ。
横で魂魄が「スク水でいいだろうが」とぼそっと言ったら
次の瞬間、吹っ飛ばされ資料の中に埋もれてしまった。


いつもいる死神の従者の姿が見えない。
岡崎に小声で聞いたら「空気を読みなさい」と言われた。
スタイルなら死神の従者もボスもそんなに変わらないと思うのだが
なにか思うことがあるのだろうか。ここまでは普段の風景である。


午前中のうちに用事が済んでやれやれとおもっていたら
夕方近くになって閻魔様がとんぼ返りで帰ってきた。
魂魄の前に行くなり深く頭を下げる。
このときの魂魄の困惑した表情は忘れられない。


閻魔様曰く、幻想郷ではスクール水着が流行しているらしい。
肌の露出が少なく、泳ぎの邪魔にならないと河童たちが宣伝した結果らしい。
わりとミーハーな閻魔様は霧雨店で買い求めようとしたが、
売り切れで結局ここまでやってきたという。
なにか重要な間違いが起こっているような気がする。


ところが閻魔様がやってきたころにはスクール水着を売っているような店は
とっくに店じまいしていた。
魂魄が私の肩を叩いた。 やっぱり行くのねあの店に。
以前、魂魄の跡継ぎの制服を調達した某店舗で水着を購入した。
泣きたくなってきた。