○月 △日  No354 受け売り


幻想郷の絵師というのは非常に面白いポジションにある。 
紅魔館などの結界生成後にやってきたヨーロッパ系の絵画の影響を受け、
日本画とも西洋画とも違う独特の画風が存在する。
特に明治政府の殖産興業による日本画の大量生産が幻想郷では存在しなかったため
西洋的技法がかなりダイナミックに取り入れられていることが多い。


博麗大結界生成当時はいろいろと混乱が起こったらしい。 
日本絵の具の大半は水溶性に対して、洋画の油絵の具は溶き油の概念があるからである。
そこでまず妖怪たちに訓練をさせてから、幻想郷の人たちに伝えていったそうだ。
上白沢の寺子屋の前身とも言える。


先日、染料を納品しようと版画屋を訪ねたら
最近、春画の版画がいわゆるアニメ絵みたいな様相になっていた。


幻想郷では春画が高値で取引される。 
主たる原因は印刷技術をもつ鴉天狗の大半が女性であることが挙げられる。
版画とアニメ絵は相性がいいとは思っていたが、問題はその画風である。
その画風は外国人がアニメ絵をまねたような妙な違和感に包まれていた。
いったい誰が書いているのか、奥を覗くと夜雀に言い寄ったあの妖怪「週二秋葉」がいたので
見なかったことにした。


そのことを朝倉に報告したら「幻想郷はすべてを受け入れるのよ。」と言った。
「とても残酷なことだけど」という言葉を私は聞き漏らさなかった。