■月 ◇日  No346 完璧で瀟洒な

紅魔館のメイドは世間一般で言うところのメイドとかなりニュアンスが
違っていると思う。
言うなれば住み込みの仕事みたいな雰囲気だ。
私がメイドという言葉を聞くと身分としてのメイドか、秋葉原に生息している
コスプレ女くらいの感覚しかない。


そこにいるメイド長はとても有能な人物だが、彼女は単に仕事ができるから
有能というわけではない。
時間を引き延ばしつつ、無理矢理仕事をこなすのはやはりメイド長といえど負担が大きい。
彼女が本当に力を発揮するのはむしろマネージメントの部分である。
特に円滑な人間関係を構築する能力が非常に高い。 
紅魔館のメイドたちが逃亡しないのも
人間関係がスムーズにいっているからというのが大きいだろう。



だが、メイド長のすごいところはメイドを纏めるのに単純になれ合いを
利用するわけではないことだ。
叱るべきところは叱る、褒めるべきところは褒めるのである。
彼女が時間を引き延ばすのはむしろ仕事をこなすためと言うよりは、
働いているメイドたちの一挙一動を
観察するために充てていると考えられるのではないだろうか。
偶然だが、働いているメイドたちの成績表という物をノーレッジ女史の好意で
見ることができた。
特に紅魔事変前後のメイドの動きが克明に記載されており、博麗の巫女が帰った後の
後始末などの流れが細かいところまで記載されていた。


完璧で瀟洒な彼女の裏側は、そんな地味なマネージメント活動の集合なのだろう。
いろいろな意味でとても参考になる出来事だった。