□月 ●日  No1140 紅魔館に派遣メイド


ヴィヴィットを紅魔館に預けることになった。
ヴァンパイアの主人たっての希望と言うことになっているが、月面戦争以降の紅魔館内部を
調べさせる目的もあるらしい。
ヴィヴィット当人は新たな学習ができると喜んでいるようだ。
紅魔館仕様のメイド服を着せてとりあえず仕事をさせることにする。
それが紅魔館を揺るがす惨事となろうとは。


実際ヴィヴィットはよく働いたと言える。 私なんかよりも決まり切った仕事をさせるのなら
とても優秀だからだ。 まず、図書館で司書の仕事をさせてみた。
するとヴィヴィットはデーモン族の娘数人分の仕事をしてみせた。
面白くないのはデーモン族の娘たちである。 最初は便利だと思っていたがだんだん腹立たしく
思ったらしく私に色々愚痴を言ってきた。


彼女たちの仕事が若干遅いのは整理するべき本をたまに読んでしまうからだった。
ここまではいい。ヴィヴィットもそれに倣い本を読み始めた
おおよそあり得ない速度であった。
程なくしてヴィヴィットは図書館を追い出されてしまった。
手伝いが無くても十分やっていけるというのが理由だった。


次に室内の掃除をさせてみた。
メイド長があまりに早い仕事ぶりに感心していた。 
しかしヴィヴィットは完全に疲れを知らない構造となっている。
それは月の技術が入ったことで更に傾向が強まった。
24時間勤務で働くヴィヴィットはメイド長の作業量を超えていた。
ところがここで幾つか不具合も起こることになった。 メイド妖精の仕事を次から次へと
奪っていったのである。
最初は喜んでいたメイド妖精だったが徐々に自分のやることがなくなると
ヴィヴィットを追い出すようになっていったのだった。


結局色々な仕事をさせてはみたのの仕事こそ上手くやっていたのに
結局何処でも追い出されるという事態に陥った。
ヴィヴィットは返品されることとなり、回収のため紅魔館に立ち寄ったのだが
てっきり文句を言われると思いきや、感謝の言葉を述べられた。


ヴィヴィットのお陰で、紅魔館の仕事効率が上がったというのである。
結局ヴィヴィットは追い出されたが、紅魔館の中には自分達が要らなくなるかも知れないという
危機感ができたというのである。
最初からこうなることは分かっていたようだった。
ヴィヴィットは最初から噛ませだったわけだ。
ヴィヴィットは今回の件で怒っていると思いきや、仕事の前に意図を全部説明されていたという。
恐らくノーレッジ女史の差し金もあったのかも知れないが、これには感服するしかなかった。


やっぱり彼女たちは切れ者である。