○月 △日  No360 この限りない細部に我々が見失うモノは?


幻想郷では科学技術と魔法が混在し、その境界はとても曖昧である。
河童や天狗たちが科学技術を用いているかと思えば、魔力を用いて人間の活力の元である
ATPを得る技術までも確立している。


魔法の構築はとてもロジカルなプログラムによって行われている。
パラメータの一部を変更すればその通りに動いてしまう。
それはまるでDNAを操作するとその通りに突然変異が起こるように、見えない
法則性が存在する。


そこでひとつの疑問が生まれる。
岡崎が立ち上げた非統一魔法世界論は科学からのアプローチで魔力の存在を
証明するものであったが、なぜ彼女の論文は潰されたのかいうことだ。
学会に復讐を考えた彼女がこの仕事をしているのが不思議でならなかったのだ。


岡崎に聞いたら予想だにしない答えが返ってきた。 
魔法の世界の考え方は人間が真実に向かうために必要なものであったが
成果物に人間の「欲」が絡んだときに問題が起こるというのである。
これが幻想郷で博麗の巫女とやりあった岡崎の口から述べられたことが何より驚きだった。
妖怪たちは自分たちの欲が自分のためだけに向いている。
実はそれが「力」の暴走に対する抑制装置になっているというのである。


その様子を見た朝倉が「自分がやっていたことは間違っていなかったと
生きているうちに証明できただけマシ」と突っ込みをいれた。
ガリレオガリレイの地動説も後世で正しいことが証明されたことを考えれば
かなり恵まれているというのである。
岡崎は「違いない」と言って笑っていた。