メイドロボ「ヴィヴィット」がやってきて一週間経つ。
彼女は順調に手遅れになっている。
良くも悪くもスレたといってもよい。
時間は守らない。仕事は以前と比べて適当になっているし
バーゲンセールで必死に詰め合わせのビニール袋を押し広げ無理矢理物を入れる芸当も
学んでしまったようだ。
返却後のトラブルについて考えると頭が痛い。
休憩室の座敷コーナー
そこで朝倉とヴィヴィットがふたりで横になりながら、せんべいを囓りつつ
ケツを掻いている。
結局、ヴィヴィットを幻想郷に連れて行くと言っておきながら
何もせずに一週間が過ぎてしまった。
あまりにひどいので岡崎にそのことを話したら、
当初からそうする予定だったと言う。
幻想郷でもヴィヴィットのような人形がいるが、幻想郷の価値観が
きちんと根付いているのでトラブルが起こらないという。
ヴィヴィットが入社したての状態で幻想郷入りしたら、それは危険因子となる
可能性が高いというのだ。
郷に入れば郷に従うのが世の常である。
幻想郷には幻想郷の価値観があるのだが、それにいつまでも
ストレスを感じていれば幻想郷に受けいられるどころか、潰されてしまうだろう。
環境が激変したとき自分の中のスイッチを変えられるようにすることは
とても重要なことらしい。 本当ですか?
朝倉が今の話を聞いていたのかどうかわからないが
「いざとなったら、ファームウェアをロールバックすればいいでしょ」と言った。
岡崎は書類をまとめながら「バックアップの指示はなかったですよ」と答えた。
おばさんサンダルまで手を出したヴィヴィットの勇姿を見て
"なるようになるか"と思った次第である。