◇月 ○日 No 095 ブレザー兎の話


ブレザー兎について、幻想郷の外の世界では大人気のブレザー兎だが現実の彼女を知る身としては
どうして彼女に人気が出るのか理解できない。
薬売りだが、満足な会話もしないし、敢えてコミュニケーションを避けようとしているようにすら感じる。
ボスはこのブレザー兎対策として、私たちに色々な訓練を施していた。
ボスの言うとおりに行動すると、目を見ても狂わないのである。 まるで相手の手の内を知り尽くしているかのようである。


いつものように納品していると、兎どもが得体の知れないシュプレヒコールをあげていた。
そう、ブレザー兎は運動家だったのだ。 それなら人目を避ける理由はよくわかる。 運動家特有の行動だったのだ。
突然とっつかまり、お前は兎を食べるのかと聞かれた。 外の世界では兎を食べる習慣がないので「ないと」答えたら
「そうだ、人間は兎を食べなくても生きていけるんだ」と叫びだし、歓声が上がる始末である。


あまりに見てられないので軽く突っ込みを入れることにした。
1 人間もまた妖怪に捕食されるリスクがあること
2 もし、兎を食べないとして代替となる食料はなにかを考えていないこと
3 運動そのものに満足してしまって、なんら実効性のある手立てをとっていないこと
この指摘に兎たちは大きく頷いた。 彼らもいくらみんなで集まっても現実が変わらないことに辟易していたようだ。 


後日、以前よりブレザー兎が社交的になったという報告を受けた。
なんか毎日のようにどのようなものを食べるのかを聞くようになったらしい。
相互理解が進んだときに、彼女たちは一体どこへ向かうのか今から楽しみである。