○月 ▼日 No 096 テロを未然に防げ


博麗大結界の外の世界にも少なからず妖怪は存在する。
今日の事件は、そんな外の世界に住む妖怪からの通報から始まった。
「私のために、大切な人がテロを起こそうとしている」
テロとはインパクト重視で、報道されてこそ意味がある。 今の世の中では報道管制が敷かれて
次の日にはニュースの闇に埋もれるのがオチだ。


ボスは、3日やるから阻止して見せろと言ってそのまま出かけてしまった。
当人とは直接会うことができた。 さすがに妖怪とはいえ女の紹介とあっては会うわけにもいかなかったのだろう。
なにやら私を誤解していたので、釘を刺しておきながら、今回の件は意味がないと諭すことにした。
ところが相手の意思も固い。 彼は妖怪が棲む森をまもるために推進派の政治家を襲撃するつもりのようだ。


議論はこう着状態のまま、3日目にさしかかろうとした。 すると妖怪が棲むあの森で銃声が聞こえた。
銃を撃っていたのは冴月である。 冴月のすべてのものを導く程度の能力により
森に住む妖怪たちを問答無用で幻想郷に送っているのである。 交渉はお流れになりかけた。
私は切り出した。 妖怪たちが魔法と憩う世界「幻想郷」があることを。 そこでなら妖怪たちは安全に暮らすことができる。
だが、人間が幻想郷にいけば問答無用で捕食される。 それは、大切な人と永遠の別れとなるであろうことを。
深い沈黙の後、本人は承諾した。 がそこに冴月が乱入して、二人をまとめて送還銃で幻想郷に送ってしまったのである。
その後ろにはボスがいた。
「正式な手続きをとれば、話は別だからねえ。」ボスの悪戯っ娘のような笑みにボスが出かけた理由を初めて理解した。