○月 ☆日  No273 キノコ中毒


キノコというのは非常に危険な食べ物である。
安全とはっきりわかったもの以外は口に運ぶべきではない。
私が学生時代にも先輩がこれは食べられるキノコだと言って、
キノコ飯を勧められて食べたら次の日酷い下痢に見舞われ、
二日ほど寝込んだことがあった。
霧雨のご息女は食べられるキノコを魔法で判別する。 実際のところ魔法以外の方法で
キノコを判別したら彼女はこの世にいないだろう。


このキノコ判別プログラムを書いたのは、うちの会社の植物学者スタッフである。
幻視による判別を行う妖怪と科学的アプローチで毒性を探す人間たちで構成されている。
今日は定期的な魔法の森探索である。 
新種のキノコを発見してはその情報をデータにして
本社に送るのである。このデータは最終的に香霖のもとに送られ八卦炉のシステム内に
取り込まれる。


うちの面子もキノコ採取に同行する。
キノコ採取は危険を伴うため、同伴での活動が義務づけられているからだ。
たまに食い詰めた妖怪がキノコを食べて事故にあう現場も見ている。
彼らにうちの会社のシステムを理解させるのも仕事である。
今日は特に何事もなく事が運んだが、先日は毒ガスで研究員が担架で運ばれたらしい。
難儀な話である。