○月 △日  No305 南米の宝物


朝倉に連れられとあるオークションに足を運ぶ。 
ここには南米の古代マヤ文明の美術品が
日々競売にかけられている。 
問題はこの美術品が殆ど盗掘であるということだ。
治安が悪かったり半分無政府状態だったりするせいで、満足に遺跡の
護衛もできないというわけだ。
ここに足を踏み入れた理由は、盗掘した商品の中に幻想郷送りに
したほうがいい危険な代物が多数含まれているからである。
小金もちになった国ほどこういうものを集めたがる傾向にあり、
その業が結局寄り集まって経済破綻を生み出すと言うのだからたまらない。
わが国でも一時期経済的に危険な状態に瀕したがその理由の一つが呪いのアイテムだった。
それらアイテムを幻想郷送りにしてどうにか事なきを得た。


さて、オークションの内容だが朝倉の様子がおかしいと言うより「ヤバイ」
よだれを垂らしてまるで、飢えた犬が肉を見たときの表情になっていた。
手持ちの端末で情報検索すると、古代マヤ文明というのは性器信仰があるらしい。
カミに献上するための器には切り取られた性器が乗せられていたということだ。
どうやら朝倉が幻視したのはその性器のようだった。 
お水がいらない胃薬を胃の中に放り込み、深呼吸した後
朝倉の肩をがっくんがっくんゆらしてどうにか正気に戻させる。

結局幾つかの物品を落札して、ホテルに泊まろうと駄々をこねる朝倉を
無理矢理飛行機に乗せ帰路に就いた。
発散させてやればいいじゃないかと魂魄がからかうが、
あの朝倉の表情を思い出したら絶対萎える。