○月 ▼日  No304 コガネムシ


北白河と一緒に香霖のところへ納品に行く。
今回北白河に同行してもらったのは、香霖に経理処理の
勉強をさせるためである。
香霖堂は赤や黒の破壊魔たちにより破壊活動や収奪行為を受けている。 
その被害額を明確にしてうちの会社から仕入れする代金と
相殺処理を行うわけだ。


香霖堂は相変わらず散らかっている。 
掃除を大してしていないのは目に見えていた。
商品こそ埃はないものの、そのほかの部分は酷い有様だ。
仕方なしに毎度おなじみの店内整理を始める。
逃走しようとする香霖を北白河が拿捕し無理矢理あちらこちらを雑巾掛けさせた。
作業は順調に見えたがしかし北白河が突然甲高い然悲鳴をあげた。 


そこに居たのはあのゴキブリである。 
食品衛生上よくないので私はゴキブリ退治のため行動を開始した。
商品の中から台所用洗剤を取り出す。 
虫型妖怪を相手に商売することもある香霖堂
スプレー式殺虫剤を探すのは難しいがこれなら十分な効果がある。
すると背後で香霖が声を上げた。 「コガネムシになんてことをするのだ」
北白河が「ええっ」と当惑した声を上げた。


香霖に言わせると幻想郷においてゴキブリはとても縁起のいい虫だそうだ。
確かにゴキブリは食料がたくさんあるとされる家庭に出現する。 
ゴキブリは金持ちの証らしい。
私は、ゴキブリに容赦なく洗剤を振り掛けた。 それとそれとは話が別だ。
香霖が「なんてことをするんだ」と抗議するので、メイド長に見つかったら
殺されるぞとまくし立て逆さまになって息絶えたゴキブリを外に廃棄しやった。
ゴキブリが食べ物に与える害を説明するのに時間がかかった。 
ああ、面倒くさい。