□月 □日  No608 香霖堂の異変

 

決算である。 今年はあまり混乱せずに終わってくれた.
ルーコトによる人海戦術を駆使した香霖堂攻略と浅間と北白河の事務処理が勝因だ。
便利すぎである。


よくよく書類を見ていると今年は香霖堂の不明在庫数が大幅に減っていることがわかった。
彼も心を入れ替えて在庫管理をしているのだなと思ったが、話を聞いたらそうでもないらしい。
まずひとつに霧雨のご息女の被害が大幅に減ったことがあげられる。
河童や紅魔館といった新しいたかり先を見つけたらしく、食い詰めて香霖堂に盗みにいくことが
減ったようだ。
香霖はちょっと寂しそうな表情をしていたが、来たら来たでろくなことにならないのだから
このままが望ましいと思う。


だが、本当の問題は別にあるらしい。それは自称現人神である。
外の世界の道具を調達するためにしょっちゅう買い物に来ているらしい。
そのたびに外の世界の商慣習を強制されるそうだ。 自称現人神だけならまだいい。
神社のおねえさんとかケロちゃん帽のカミ様まで出現しては、香霖堂の中を荒らし回っているのだという。


もし本当ならとても迷惑な話である。状況を把握するためにあたりを見回すと
商品はむしろこれまで以上に整理されている。
そして、あちこちには手作りのPOPが飾られていた。
香霖にはあり得ないセンスである。
これまでになかったプライスカードを見ていたら、香霖がこれのせいで金額の交渉がやりづらいと
ぼやいていた。 だったらプライスカードを撤去すれば良いのではないかと言ったら
一度実行して酷い目にあったらしい。 


香霖はこの一件を私の差し金だと思ったらしい。
人のことを変態専門家呼ばわりしていたからしばいてやろうかと思っていたが
確かにいきなり客が店を勝手に改装してしまえば、香霖もおもしろくないし
むしろ大迷惑と言うべきなのだろう。少し同情してしまった。


その話を朝倉にしてみたら、きょうび事業のノウハウ指南でお金を取るビジネスがあるのに
無料で教えてもらってそんな態度では虫が良すぎると言っていた。
確かに自称現人神が教えた事業ノウハウは彼にとってもかなりのプラスになったに違いない。
自称現人神に商品の一つや二つはサービスするようにと言われてしまった。
言われてみればそうだが、本人には言いにくい話である。


決算の仕事はとりあえずおしまい。
明日からは新しい期がスタートする。 博麗の巫女がロケットに乗ったり月との衝突も現実味を帯びているが
来年もよい一年であってほしいものだ。