□月 ●日  No717 幻想郷水着事情


香霖より救援要請がきたので急いで駆けつける。
いたのは自称現人神たち。香霖堂に水着が売ってないというので
かなりご機嫌斜めな様子だ。
実際香霖堂には褌しか売ってない。
この様子に自称現人神は馬鹿にしているのかと言いたいらしい。


夏、じめじめした暑さに耐えかねて水浴びでもやりたくなる季節。
男性は褌で湖に入り、水泳を嗜んでいる。
男性用水着の代表格が褌である。 勘違いして欲しくないのだが褌=変態ではない。
場を弁えない水着姿を珍妙な姿として考えるのであって
れっきとした普通の衣服であることを理解されたい。


また体を清める行為にも専用の褌があり決してネガティブな意味合いばかりではないことを
理解するべきだろう。 香霖堂にも用途に合わせた様々な褌を販売している。
ちなみに妖怪避けに使っている褌は純白だがよく見るとスペルカードにも似た
大量の刺繍が施されている。彼が妖怪の脅威にも関わらず生き残れるのは
こうしたグッズのお陰でもある。



おねえさんとケロちゃん帽のカミ様は思い思いの褌を選んでいる。
実は幻想郷では男性用女性用水着の明確な区別が成されてない。
男女共々褌なのだ。
閻魔様がわざわざ顕界でスクール水着を探したのも結局は
そういう理由によるものだったりする。


胸はどうするのか。 そもそも江戸初期まで胸を隠す習慣がなかったのだ。
すなわちトップレスである。
おねえさんたちは当然幻想郷ではトップレスで居られると考えていたのだが
自称現人神はどうしてもそのことが理解できない。 
まあ当然であろう。


あとは死神嬢のようなぬれてもいい衣服を着てもらうしかない。
ちなみに死神嬢が褌を穿いている。水着の意味合いが強いからだ。


他の少女妖怪がどうやって水浴びをしているのかと尋ねられたので知っている限り
答えることにした。
一番変っている鴉天狗の場合、衣服を着たまま、カメラを防水鞄に収納して
湖に向かって急降下する。 そのまま数秒間水にはいるとそのまま急上昇する。
あまりの高速で目で捕捉するのは不可能に近い。
気合いの入ったうちの会社の職員がハイスピードカメラで撮影したが
どうにか彼女の姿を捉えるのが精一杯だったそうだ。
河童はレインコートを着ているので話が違ってくる。 水着らしきモノも着用しているが
あくまで濡れてもいい衣服。濡れてもからだが透けてこない服装としての水着であり
ファッション製はこれっぽっちも考えていない。


おねえさんに言わせれば、水着は女性の柔肌を異性に見せるためのモノで
本来なら肌を見せるのはまかりならないというのが正しいという。
すなわち、女性が水浴びをするときは男子禁制が正しいありかたなのだ。


朝倉は水着を着るのに2年掛かってしまったらしい。
露出の高い魔法使いの服を着ているくせに水着はどうしても着るのに躊躇していたのだ。
顕界に住んでいる魔法使いの例として挙げたがこれには自称現人神も驚きの声を上げた。


それでもトップレスはどうしても耐えられないというので、
仕方なしに自称現人神の水着を探すことに決定。
結局ワンピースタイプの専用設計で作ることになり、どうにか納得してもらった。
採算が合わない豪華な作りである。あんまり広まってしまうと困るのだが


今目の前にそのワンピース型水着の注文表がたんまりと重なっている。
一体何枚赤伝を着ることになるのか、とても頭が痛い。