□月 □日  No607 浅間様と浅間伊佐美


浅間がこの部署に来て3ヶ月ほどが経過したが、幻想郷の生活にもあっという間に順応し
すべてにおいて順風満帆である。
だが朝倉だけは難しい顔をしている。どうも浅間には引き合わせてはいけない人物がいるらしい。


浅間は博麗の巫女や自称現人神と同様に巫女としての才能を強く持っている。
八百万のカミに接続し、通常は奇跡を起こすところを自らの身体機能を向上させることに
使える珍しいタイプらしい。
浅間は幻想郷にいるといくら飲んでも少しも酔わないと言っていた。
アルコール分解能力が向上して、酔いすら起こらないらしい。
しかしながら本人はとても迷惑顔である。 ほろ酔い気分が彼女にとっては丁度いいのだ。
朝倉に言わせると、特にうちの会社の基地では浅間の能力が特に向上するらしい。
妖怪の山と言われるこの一帯は浅間にとって何か関係のある土地ということだそうだ。


この山は大噴火でカルデラになる前の浅間山を模していると言われる。
もっとも顕界にある山とどちらが本当の浅間山かは私にも分からない。
第一、地名というものは謂われでいくらでも変わってしまうものだ。
過去の記録と伝承を合わせて、ここが浅間と呼ばれる土地であると言うことに過ぎない。
地名とはあくまでそう定義されたものだ。
たとえば一番天に近い山は富士と呼ばれているが、新高山だった時期だってある。
このように一番高い山ですら定義が変わってしまうのが現実である。


ただ、一つ言えるのは我々がいるこの基地は休火山とはいえ火山地帯であり
状況に応じて何度も移転できるように作られているということだ。
里香女史は幻想郷最大の要塞地帯だという。
確かに例の神社がやってきてからはさらに霊的防御力も向上しているし
現状でも河童や天狗たちによる防衛能力が博麗の巫女に対してもかなりの効果を
あげられることを実証している。


さて、浅間に引き合わせてはいけないと言われた人物はどうやらメトセラ娘らしい。
先日浅間がメトセラ娘と酒を飲んでどんちゃん騒いだ挙げ句山火事を起こしたことを話したら
朝倉が顔面蒼白になっていた。
本人には問題がなく、どうも接続しているカミ様に問題があるらしい。
胃薬を飲んでいる朝倉を初めて見た。


浅間は相変わらず元気に幻想郷でも仕事場でも酒をガンガン飲んでいる。
お酒代に補助が出るためますますお酒を飲むペースもヒートアップしているようだ。
個人的には喧嘩になっても一時間もすれば飲み比べ大会 仲直りの流れになると予想しているので
それほど深刻には受け止めていない。 色々と心配ではあるのだが。