□月 ●日  No751 怪現象にご用心


最近現地社員寮の部屋の中でラップ音が聞こえる。
周囲の社員は怖がっているが知ったことではない。
幻想郷にいたらこの程度のことでグダグダ言っている場合じゃないからだ。
幻想郷暮らししていればこうした不思議現象の一つや二つは日常茶飯事と
考えた方がいい。私はもう慣れた。 

 
幻想の今日の不思議現象はとりあえず妖精のせいってことにすれば
おおかたの説明がつく。 
ポルターガイスト現象もそのひとつだ。 朝倉の説明ではこいつらを止めるコツは
奴らが手で持っていることを想像して頭に向かって攻撃することだそうだ。
すると相手はびっくりして一瞬でも動きを止めるらしい。
氷結ジェットの類も有効だ。 冷気で一瞬動きが止まったらあたりと思えばいい


あまりに五月蠅いので、会社の事務所で寝ることにする。
椅子寝は私の十八番だ。 背中が痛くなるが仕方ない。
自分の部屋は目張りしてバルサンを炊いてやった。
お仕置きにはとても便利だから是非試すといい。


現地法人寮で盗難騒ぎ。
話を聞いたらラップ音を引き起こしている妖精を妖怪ハンターに駆除させようとしたらしい。
霧雨のご息女の特徴を話したらその通りだと言われた。
あとで香霖堂で物品を回収しないといけなさそうだ。
本当に頭が痛い。


あまりに被害が広がっているので再び朝倉に連絡。
廃棄処分手前の消火器で対抗せよと言われる。
物が飛んでいるところに消化剤をぶっ放すと、妖精がもつ光学迷彩が無効化されるそうだ。
試しに使ってみたら、品物を動かしているだけではなく、色々な妖精がまさに今悪戯しようとしていた。
まるでグレムリンだ。
全員軽く殴ってつまみ出す。
きりがない。


寝るときも妖精たちの悪戯は続くので魂魄に相談する。
すると中有の道で使う専用メガネを渡された。
そして魔法の言葉を唱えると妖精たちは近づかないらしい。


苛々が頂点になったのでひとつ使うことにした。
「かわいいパンツだな」と
空を飛んでいたナイフの動きが止まって一瞬沈黙が訪れた。
その後何故か現象は起こってない。
代わりに何か大切な物が瓦解したような気がしたが
気にしないことにした。