久々に戦車娘と社食で一緒になった。
そこで話題になったのは幻想郷の生態系の話である。
幻想入りした生き物が住う幻想郷であるが、幻想郷の生き物も
絶滅するときは絶滅するという話だった。
うちの会社に幻想郷の生態系を観察する部署がある。
里香女史がいる検疫部も生態系観察をしている部署の一セクションである。
これまでも外の世界から流れ込んできた外来種を水際で防ぐなど涙ぐましい努力に
付き合わされたこともある。
考えても見れば幻想入りしたすなわち絶滅した生き物の多様性が残りつつも
幻想郷に全て存在すること自体おかしな話である。
もしそんな生き物が残ってしまったら幻想郷には恐竜がいたりほ乳類型爬虫類がいたり
果てはカンブリア期で生きた奇天烈生物までもがいるってことになる。
幻想郷にアウストラロピテクスやネアンデルタールがいるという報告もない。
そもそも生き物の個体数は想像よりも多くない。
顕界の感覚で群生していたら容易に破綻してしまう。
朱鷺が割とよくみられるのは単に敷地が狭いからであり、顕界の基準で行けば
絶滅危惧種扱いである。
乱獲はやっぱり絶滅を招く要因になる。
これは妖怪においても同じらしい。
内部ではものすごいと淘汰や変質が発生している。
妖怪もまた幻想入りした生き物の消失と共に意味消失すると言われている。
幻想郷の妖怪とて永遠の存在ではなく、ただ単に寿命が長いだけと思った方がいい。
しかし全くの逆のケースもあるらしい。
幻想郷に逃げ込んだ一部の生態系が結局幻想郷に淘汰されかけて顕界にもどるケースもあるのだそうだ。
よく絶滅したと思われていた生き物が実は存在していたというケースはまさに
この逆走現象によるものらしい。
こういった生き物は幻想郷暮しが長い故に妙な智恵がついているそうで
ちゃっかり人間に見つかって絶滅危惧種をいいことにおまんまの食い上げを防いでいるという。
ウブな男の家に転がり込むのと同じ理屈よね。と笑う里香女史。
だからあなたは売れ残るんだという言葉を飲み込むのに必死だったことは言うまでもない。