□月 ●日  No875 カミ下ろしは祓うまでが儀式です


自称現人神と神下ろしの実験。
下りてくるのはいつものおねえさんなので緊迫感がまるでない。


私はずっと朝倉が自分で巫女の能力を再現してやればいいと思っていたがそうはいかないらしい。
朝倉が自分で巫女の能力を再現できれば最初の月面戦争だってもっと有利に事を運べたわけだから
出来ない理由がきっとあるとは思っていた。
答えは力を貸しているおねえさんが教えてくれた。


実は神下ろし自体は私でも出来るらしい。少々の訓練さえあれば素人でも可能だ。
こっくりさんも神下ろしの応用みたいなものと言われた成る程と納得する。
問題は下ろした後だ。
下ろした後で力を引き出して奇跡を起こす。 これがそもそもハードルが高い。
酷いケースだと意識を乗っ取られて最悪は死に至る事故も多い中、意識を保って
安定した形で奇跡を起こすのはとても困難らしい。


もう一つ問題がある。 それは、パージ処理である。
下ろした神は退去して貰わないといけないのだが、これが難しい。
というより訓練がいるのはこっちのほうだそうだ。
そこで普段から色々なカミを下ろしてパージを繰り返す処理に慣れたりする必要がある。
レスポンス問題がでるのもパージ処理の時だそうだ。
つまり退去してくださいお願いしますと言ってもすぐに帰ってこないという意味である。


さてパージし損ねた場合はどうするのか。
朝倉と自称現人神に聞いたら、まず殴ると言われた。
グーパンチや竹の棒で殴るのもいい感じだそうだ。
要するに、肉体にダメージを与えたら逃げてくれるらしい。最悪だ。
殴りすぎて死んだらそのときはそのときらしい。
マメや桃を投げるのも有効な手段らしい。 桃はコスト高だがリスクが少ないし
処分が容易らしい。 


一通り実験が終わり、撤収作業の最中。
自分もおねえさんを下ろすことができるのかと二人に尋ねたら
何故か二人がピコぽんハンマーと竹の棒を携えて「下ろしてみようか」と言われた。
とりあえず逃げた。