□月 ●日  No963 税務監査ですよ


税務監査があるというので資料室あさりを手伝わされる。
この八雲商事には沢山の資料室があり、幻想郷に関する文献の数々や妖怪研究、魔術研究の類など
見る人が見れば涎が垂れるようなレベルの代物がゴロゴロしている。
必要な物は経理書類や発注書の類なので殆どスルーであるが。


注文書が一通り揃っているかを確認するのだが、改めてみると本当にこれでいいのかというものばかりだ。
メイド長の注文とか、月面からの注文書なんかどうするのだと思う。
名前を普通に書けば普通の書類に見えるのだから別に問題がないのかもしれない。


この税務監査という物は特に不正をやっているから入るというわけではない。
こういうのはだいたい来る時期が決まっている。 
また儲かってる、または急に儲かったところにも税務調査が入ることが知られている。
何故なら、処理の間違いなどで追徴で課税したとしても儲かってない会社からはお金を取ることが難しいからだ。
そういうことで、税務調査が着ていると言うことは少なくても会社は一応安泰だとも言うことができる。
たまに悪質な脱税などをやっていて税務署から目をつけられているお得意様もいるがそれはそれ。


資料室あさりであるが、うちの会社には魔法使いがいるので力仕事はあまりない。
仮に力仕事があってもそれは妖怪たちの仕事だ。 私程度の体格では足手まといとなってしまう。
魔法を帯びたテープを渡されて、税務書類にぺたぺた貼っていく作業である。
そこに朝倉のような魔法使いがそれを目印にして段ボールを会議室へと運ぶのである。
これは便利だ。


こんな仕事は経理部にやらせればいいと思うのだが、彼らは彼らで書類のチェックをやっているので
そうはいかないらしい。 考えてみれば朝倉発の怪しい書類だってあるのだからここで経理に恩を売っておかないと
あとが怖いというのもある。


うちの会社には多数の妖怪が在籍しているが、少女の姿をしている彼らに対して税務署が何か言うのかと
経理の人に尋ねたら、そのときは大人の外見に擬態するのだそうで問題ないらしい。
笑えるのは大人に擬態するときに着る制服である。 これだけのサイズにしてくださいと規定があってその姿に調整するか
面倒な場合は幻想郷に避難するか選ぶことができるようだ。


ちなみに会社の顧問税理士さんもまた妖怪だそうで、閻魔様に負けず劣らずベビーフェイスだったりする。
技術の人間が、先生来たと言って写真を撮ろうとしていたが後ろでパイプ椅子が畳まれている音が鳴ったので
その場を離れようと思う。