□月 ●日  No995 紅月の解体現場


紅魔館に作られていたプールの埋め立て作業を行う。
図書館の近くにプールを作られてしまったため、本が駄目になるかだそうだ。
プールは別の場所に建造されて妖怪たちの憩いの場になると思われる。
恐らく夏に向けて入場料を取る気だろう。


埋め立てと言っても魔法を用いた豪快なやりかたである。
私はというと、疲れたという理由で用意される飲み物やスイーツの類を持ってくるだけである。
改めて感心するのだが、彼女たちの魔法は建物に被害を与えないように細かな制御を行っている。
これはデスマシン妹君も同様だ。 一見破壊活動をしているように見えて周囲の壁には傷一つ付かないのだ。
これはある意味芸術と言えるだろう。


破壊活動が終わると、残材を妖精メイドがせっせと外に運び出す。
大きな残骸は都度美鈴女史が破壊して小さく纏めていく。
見事すぎる連係プレイに驚くことしきりだ。


数時間掛けてとりあえず解体は完了したが大量の埃が本に被ってノーレッジ女史の顔が真っ青になりながら
しきりに咳をしていた。 自称喘息持ちにこの状況はきつすぎるのではないだろうか。
メイド長が少々涙目になっていた。幾ら残材を運び出したとはいえこれだけ埃まみれにしたらたまらない。
そして、私が呼ばれた理由もすぐに理解できた。
この部屋にある内装やカーテンの類全てを交換することになったのだ。
採寸を手伝って貰ったがそれでも半日かかった。


カーテンを選んだメイド長の顔がげっそりしていた。
時間を止めながら選定していたのだろう。 無理しすぎである。
結局ノーレッジ女史よりも早くダウンしてしまった。
これは少々困る。


顕界のカーテン屋に事情を説明したら、やたらと張り切っていてびっくりする。
最近、仕事が少なくなったが久々の大口の現場と言うことらしい。
こういうところで顕界の経済状況の縮図を見ると少々切なくなる。


納期短縮を駆使してどうにか今週中には商品が届くようにはした。
施工は河童に応援を頼むことにしよう。
外では美鈴女史が袋にゴミが入るように丁寧に残骸を壊していた。
徒手空拳の筈だが、モルタルや石膏ボードの類が簡単に破壊されている。


袋が破けないように丁寧に切り刻んでいる事からも分かるとおり、紅魔館の人々は
かなり仕事が細かい。
顕界とほぼ同等の仕事レベルを平気で求めるので対応は注意が要ると思う。


プール建造は暫く後になるだろうが、取りあえず希望納期は叶えられるようだ。
何とかなって良かった。