□月 ●日  No1501 開拓者


株式会社八雲商事 表向きは一般の商社の振りをしている企業であるが
その実態は幻想郷に物資を運び生活を支える仕事をしている。
その大量の物量を支えているのが幻想郷行きの貨物列車だ。


幻想郷では実に多くの物資が不足している。
塩や鉱石類、食料の類様々だ。
顕界であっても多くの物は輸入に頼っていることを考えれば
面積が遙かに狭い幻想郷でそこに住む人に一定水準の生活を
与えることために物資を常に送り続ける事が必要となるのである。


ここで重要なことは継続的に行われないといけないということだ。
幻想郷にも多少の事故に耐えられるように物資のストックはあるし
いざとなれば少量なら物資を運び入れることは可能ではあるが
単独の妖怪にそれをやらせるのは妖怪を疲弊させるだけである。
だからこそ物資を運ぶ行為はシステム化しないとならないのである。


妖怪と接する際は特にこのシステム化が重要となる。
妖怪は契約によって動く者が多く、逆に言えば契約を守れば
こちらに危害を加えない。
これを明文化した物がスペルカードシステムだ。
普通ならこんな効率の悪いシステムを妖怪が好き好んで
利用するわけがない。
彼らの力を削ぐ意味でもこのシステムは有効だ。
そしてこのシステムが有効であることが、契約を守れば
安全だという所作でもある。


では、妖怪とどうやって契約を結ぶかって?
どうやらそういうことを専門にやっている部署があるらしい。
経理部に他人の嫌がらせを趣味にしている困った人がいることを
浅間から聞いたことがあるがどうやらその人物が契約に
関係しているのだという。


いずれにしてもこうした見えない人の尽力によって取りあえず
私の仕事ができているのは有り難い話だ。
危険と隣り合わせの仕事をしている中でそれが命綱となるのである。