●月 ●日 No 080 言いたいことは分かるんだ でもね

香霖はたまに褌一丁になるときがある。傍から見れば変態行為である。
しかしながら彼が褌一丁になるのはきちんとした理由がある。
能力のない妖怪や人間が自分の身を守るために使う最後の手段が「変態行為」なのだ。
妖怪には物理攻撃や身体を使った戦闘はまず通用しない。
現代兵器をもってすら数人係で戦うことが基本である。
しかし、彼らにも弱点がある。そのひとつが精神攻撃であり、変態行為も相手の精神にダメージを
与えたり、やもすれば戦闘不能にすることもできる。
実は外の世界の幽霊にも変態行為は有効である。 それは、崇教やイタコなどのかたちとして
今に残っている。
香霖が霧雨店から独立するときに、社長が香霖に教えたのが褌一丁になる自衛方法だったらしい。
そのままハッテンの世界に行ってはいないかと少し心配になったが、その心配はないらしい。


と、相変わらず褌一丁の香霖が私に力説したわけだが
霧雨のご息女のブロマイドを刺繍にした褌をつけた状況で言っても説得力はないだろう。
その後淡々と納品を済ませて、香霖堂を後にした。