▽月 ○日 No 081 魔界にも納品にいきますよ


同僚が風邪をこじらせたため、急遽魔界とやらに商品配達となった。
冥界に行った位なので度胸は付いていたが、着いてみれば、結構牧歌的でのほほんとしたところでびっくりした。
どこもかしこも地獄のような状況というわけではなく、ある程度専用の場所を設けているらしい。
事務職らしい悪魔が、「予算 予算」と呻いていた。 ここもうちと同じか。
魔界に永住したものは人間でさえでも妖怪になると言われる。 できればあまり長居したくない場所だ。


門番に物品を渡して仕事が終わったと思いきや、横から別の人に耳打ちされてその人が受取人その人だと知った。
幻想郷にいる妖怪は幼女の姿をしているケースが多いのだが、ご他聞にもれず彼女もまた
そのとおりの外見だったので完全に見誤った。
物品をその場で開封された。中身は映写機である。
スイッチを入れると物凄く迫力のある魔人が立体画像として映された。
それを見た受取人がしばし悩むと、どこからか紙を取り出してさらさらと書いて見せた。
そこには「もっと、角を増やしてくれ 神綺」と書かれていた。


帰りがけに、地獄とやらを見学させてもらった。
苦痛で呻いてる連中の中に、「神綺タン ハアハア」と呟いている奴がいた。
中には「アーッ」とかほざいている奴もいた。
地獄はもう駄目かもしれないと思った。


戻ったら朝倉に目上の人に対する礼儀がなってないと叱られた。