■月 ○日 No 082 人柱


大結界を維持するためには人柱が必要である。
誰もが望んで人柱になる人はいない。昔は隙間妖怪が人をさらっては人柱にしていたらしいが
戸籍制度が発達した現代においてそれはあまりに効率が悪いし、リスクがある。
しかし幻想郷の維持のためには定期的に神隠しを行い外の物質を取り入れる必要がある。
物質の量は年々増加の一途をたどり、いずれ隙間妖怪のキャパシティを超えてしまうだろう。
効率のよい神隠しを行うにはどうするのか、それは人柱を法人化し、会社と言う「式」を結界の一部として組み入れることだ。
言うなれば、私も人柱なわけであるが、会社に属することは会社の人柱になる点はどこも同じなのかもしれない。

会社概要のネットサイトを見たら、会長職に隙間妖怪の名前があった。
代表取締役専務は、あの中間管理職狐である。
このあまりといえばあまりのことに、思わずコーヒーを吹いてしまった。
世の中は奥が深い。