◎月 ▼日  No224 新人研修


人に物を教えることは物事の理解を深めるために必要なことだと思う。
最近は新入社員向けの研修を朝倉の代わりにやるようになった。
間違ったことを教えてはいけないので、必死こいて勉強するようになる。


今日は各妖怪たちの対応の仕方の講習である。
新入社員は妖怪たちを可愛い少女としか思っていないケースも多い。
酷いケースだと、こんな可愛い女の子が人を食べるわけがないとか、
最悪なケースだと、写真を持ち帰ってコメントし難いことを始める者もいる有様だ。


デスマシン妹君の危険度を具体的に説明するのだが、いまひとつ良い語彙が浮かばない。
物を破壊する能力と言うのがあまりに具体性に欠けるからだ。
色々考えた挙句、「ニトログリセリンをコップになみなみと注いだ状態でラリーをやるようなもの」と
説明してみたが失笑が漏れるばかりで理解してもらえない。


教えることの専門家である岡崎にコツを教えてもらうことにした。
言葉を尽くしても意味がない。 イメージと理論をすり合わせることが重要との事。
次の日用意したのは映像である。デスマシン妹君が暴れて紅魔館が半壊したときの様子の記録だった。
まるで嵐が眼前に飛び込んだような内容である。 だが一番のインパクトはその騒ぎに巻き込まれた
一匹のネズミがミンチになる姿だった。
噂には聞いていたが講師の自分も言葉を失ってしまった
研修報告書にはかなりの反響が寄せられてボスに褒められた。
だが自分はこんなものと接していたのかと急に恐ろしくなった。